古事記スクール

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2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【新古事記045】スサノオ・ファイアー・ボール

「そうそう」 カナコと呼ばれる女性は思い出したように話を続けた。 「この龍の鳥居…双龍鳥居って言うんですけど、都内に3つしかないんですよ。 あとね…」 彼女はとめどなく話し続けた。 「この先の隋神門の天井に大きな鈴があるんですけど…その下で夢を念じ…

【新古事記044】ペアルック

赤い鳥居をくぐると、すぐに次の鳥居があった。この鳥居は石で作られていて、向かって左の柱に昇り龍、右に降り龍が彫られていた。 「これこれ、これを見たかったの」 聖は嬉しそうにいった。 平日の朝ということもあり、神社の中は閑散としていた。 しかし…

【新古事記043】神社デート

08時30分 陽と聖は新宿で黄色い電車に乗り換えた。陽は久しぶりの満員電車に辟易としていた。 すでに自宅を出てから1時間以上が経過していた。そこからさらに10分程度電車に揺られ、二人は目的の駅で降りた。 「うえー、疲れた…」 満員電車にぐったりする陽…

【新古事記042】妻との確執

3時55分 航がフロントバックに戻ると、掛川さんと交代で起きてきた米澤さんがいた。 「おはようございます」 米澤さんは航の顔を見ると言った。 「ちょっと腹減ったんで、ご飯食べていいですか?」 「もちろんです、どうぞ」 米澤さんはコンビニで買ってきた…

【新古事記041】シキカワ☆ワンダラー

仮眠に入った航は、バッグからタクヤさんの書籍を取り出した。 そして、まじまじと帯を見た。 帯には 「炎上上等!スピリチュアル界のご意見番シキカワ☆ワンダラー絶賛!!」 と書かれていた。 航はスマホで「シキカワ☆ワンダラー」と検索した。 すると、原…

【新古事記040】21歳の片想い

21時50分 スマホのアラームが鳴った。 家の中は静まり返っていた。妻も娘ももう寝ていた。 航は出来るだけ音を立てないように顔を洗い、歯を磨き、髪を整えた。 ----------------------------------- 22時45分 今日の勤務は、電車大好き3年目の21歳・掛川さ…

[新古事記039】感情移入

夕食を終えた航は、ソファに座りさっき届いたばかりの本の表紙を眺めていた。 意を決して本を開く。しかし、数行読んだだけですぐに本を閉じた。 (ダメだ、とてもじゃないが読めない。 どうしたって感情移入しすぎてしまう…) 「コウ、また本買ったの?」 …

【コラム?】夏越の大祓

もう少しで6月も終わり。 神社で「茅の輪」を見ることも多いのではないでしょうか? 過去に描いたものですが、「茅の輪くぐり」の起源を簡単にまとめてあります(実際にはもっと色々なパターンがあります) よろしければご覧ください^ ^

【新古事記038】聖への荷物

「あっ、そういえば…」 陽はソファから身を起こして言った。 「聖宛に荷物届いてたよ。そこにに置いてある」 聖の顔がパッと明るくなった。 「もう届いたの?日本最高っ!!」 それを聞いた陽は、航が「何度でも日本人に生まれ変わりたい」と言っていたこと…

【動画】古事記チャンネル

【京都・古事記の動画】 一年前にYouTubeで公開された古事記講座の模様の一部です^ ^ https://youtu.be/ta6cKeVRFzc

【新古事記037】名古屋のなほほん

18時10分 「ただいまー」 聖が帰ってきた。 「おかえりー」 「よう、お掃除と…洗濯もの取り込んでくれた?」 「うん、やってあるよ」 「ありがとう。今からすぐご飯作るから」 聖は荷物を置き着替えると、すぐキッチンに立った。 「あれ?カレー残ってる。よ…

【まとめ読み】新古事記〜1話から10話まで〜

1話から10話までの総集編です https://kakuyomu.jp/works/1177354054889904426/episodes/1177354054889904459

【新古事記036】18歳のフットボーラー

11時05分 帰宅した陽は、そのままベッドに潜り込みたかったが思いとどまった。 冷蔵庫を開け、ラップされたカレーとご飯を取り出し電子レンジに放り込む。 チーン!! 皿に盛り付けると、再び冷蔵庫を開け麦茶を取り出そうと手を伸ばす。しかし、手に取った…

【新古事記035】働き蜂

陽のつぶやきに言葉を被せてきたのは朴さんだった。 「ようちゃん、日本って良い国だよ…」 朴さんの声はどこか寂しそうだった。そしてスイッチを切り替えるように明るく言った。 「私は生まれ変わるなら関西人がいいな。 スタイルのめっちゃ良い関西人! そ…

【新古事記034】生まれ変わり

ロビーには多くの外国人が姿を見せはじめていた。その人数はみるみると増えていった。 ほとんどはジャージ姿で、背中にはJamaicaとかGermanyと書かれていた。 チェックアウトは選手自身でなく、付き添いの担当者がおこなった。彼らは流暢な日本語を話したの…

【新古事記033】出産に立ち会う?

航の出産体験談を聞いた上で、陽は改めて質問をした。 「氷川さんは出産には立ち会わないほうが良かったと思ってるんですか?」 航は少し考えてから言った。 「うーん、、、 答えになっていないと思いますけど、やっぱり微妙…ですね。 今でも、妻と出産の時…

【新古事記032】父になる

「あ、そうそう 僕ね、病院での出産に猜疑心があったんですよ」 「猜疑心?」 「いや、僕のクセというか…ちょっと世界を疑って見るクセがあるんですよ、昔から。 当時、病院っていうのは医者の都合で陣痛促進剤を使ったり、安易に帝王切開を選択する、と思っ…

【新古事記031】女の世界

「実際のところ、立ち会ってみていかがでしたか?」 陽は自分の将来と重ねて、航に質問した。 「たぶん浅間さんは奥さん想いだし、感動的なものを求めてるのかもしれないけど… 個人的には微妙ですね…」 「び、微妙???」 航は笑みを浮かべながら言った 「…

【新古事記030】見栄っ張り

「恥ずかしい話ですけど…」 航は話を続けた 「電車で赤ちゃんが泣いてしまい、困ってるお母さん、いるでしょ? 僕ね、あれを見て「母親なんだからなんとかしろよ」って思ってたんですよ。あ、今は思いませんよ。 つまり、子供のこと、何もわかっていなかった…

【新古事記029】航の話

「僕の妻は、一度流産しているんです」 航の一言に陽はなんと答えて良いかわからなかった。 「そ、それはお気の毒でし…」 航は陽の言葉をすぐに遮った。 「そうじゃないんです。 僕ね、そりゃ悲しむ妻を見て辛かったですよ。 でも、心のどこかでホッとしちゃ…

【新古事記028】子供の話

しばらくすると、陽はスマホの画面を暗くした。サッカーの試合が終わったのだろうか? そして、航に話しかけた。 「氷川さん、お子さんいらっしゃるんでしたよね?」 「はい。小1の娘がいます」 「かわいいでしょう?」 「はぁ、まぁ、そりゃ…かわいいですよ…

【新古事記027】海外フットボール

「おはようございます」 航が仮眠を終え戻ると、フロントバックは陽の姿があった。 「あ、おはようございます。やること終わってるんで、のんびりしてて大丈夫ですよ。 7時くらいから団体のチェックアウトがあるのでよろしくお願いします」 ホテル近くの競技…

【新古事記026】DMZ

航は30歳になりたての頃、塗装工をしていたことがあった。そこには様々な人が集まっており、中には不法入国をしている外国人の姿もあった。かなりタフな世界だった。 その中に岩山さんと名乗る60代くらいの韓国人がいた。岩山さんは胆石を持っていたが、痛み…

【新古事記025】朴さんとの対話

00時50分 陽は仮眠に入り、フロントバックには航と朴さんの2人が残っていた。 航は手を止めずに朴さんに語りかけた。 「朴さん、韓国はどうでしたか?」 朴さんは笑顔で言った 「楽しかったですよ、家族にも会えたし」 「寂しくないですか?韓国と日本に離れ…

【新古事記024】帰ってきた朴さん

15時00分 航は寝るのを諦めた。 今夜も夜勤がある。航は夜に備え身体を休めておきたかったが、今日は気持ちがそわそわしてしまい、寝ていられなかった。 18時から、10年来の友人の出版トークライブが名古屋で予定されていた。航は仕事が控えていたし、名古屋…

【新古事記023】龍の人

13時00分 昼食を終えた陽は、暇つぶしにテレビゲームをはじめた。いつものサッカーゲーム。 ザーッ カチャカチャ キュッ 聖は食器を洗っていた。 先日、引退したサッカー選手がテレビの中では元気に動き回っていた。 「みんな歳を取るんだよな…」 そんな当た…

【新古事記022】憤り

【登場人物】 氷川航(ひかわわたる) 45歳。最近、ホテルの夜間フロントのアルバイトを始めた。新人なのにおじさん。家族はフルタイムで働く妻と小学1年生の娘がいる。 浅間陽(あさまひなた) 33歳。大学生の頃からホテルのフロントで働いている。趣味はス…

【新古事記021】憂鬱

陽は五十嵐さんを前にして、すっかり勢いを失ってしまった。 陽は五十嵐さんのことが好きだったし、これ以上負担をかけたくなかった。 「まぁ聖とのこともあるんで。給料上げて欲しいです。今のままじゃ…不安しかありません」 陽はこんなこと五十嵐さんに言…

【新古事記020】面談

12時40分 「じゃ、行ってくるね」 「いってらっしゃい」 陽は自転車に跨り、駅に向かった。電車に乗る前に緑色の看板の銀行に寄った。 画面を操作し、家賃75,000円を振り込む。陽は胃が締め付けられるような思いがした。通帳に記された残高を見て、この数字…

【新古事記019】ざるうどん

06時40分 翌朝、掛川さん、李さん、そして航の3人はフロントに立っていた。 同年代の掛川さんと李さんが話しているのを、少し離れたところで航は聞いていた。 掛川さんが李さんに言う。 「就活どう?」 「うーん、派遣ならいけるんだけどね。派遣だと、ブラ…