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【新古事記041】シキカワ☆ワンダラー

仮眠に入った航は、バッグからタクヤさんの書籍を取り出した。


そして、まじまじと帯を見た。


帯には


「炎上上等!スピリチュアル界のご意見番シキカワ☆ワンダラー絶賛!!」


と書かれていた。


航はスマホで「シキカワ☆ワンダラー」と検索した。


すると、原色を基調とした鮮やかなホームページが画面に映し出された。


『スピリチュアルに555万円を投じた男!

シキカワ☆ワンダラーの突撃スピリチュアル』


そこにはシキカワ☆ワンダラーが体験したスピリチュアルカウンセリングやワークショップ、セッションのレビューが赤裸々に書かれていた。


「やっぱり…」


航は画面に現れたシキカワ☆ワンダラーと名乗る男性に見覚えがあった。


「式川くん、懐かしい。ぜんぜん変わらないな」


航には人生に迷走している時期があった。


12年ほど前、航は当時付き合っていた彼女…現在の妻との将来を考えた時「このままではいけない」と感じていた。収入面も不安だったし、もっと自分らしい人生があるのではないか?と思った。そしていわゆる「自分探し」を始めたのだ。


航は読書から始まり、やがて高額な自己啓発セミナーに通うようになった。その過程で知り合ったのが、先日出版を果たしたタクヤさんと式川君だった。やがてエスカレートした彼らは一時期スピリチュアルに傾倒し、いわゆる霊能者にアドバイスをもらいにいったりしていた。


特に式川君の行動力はすさまじく、インドやフィリピンの聖地を訪れるほどの力の入れようだった。


「式川くんに最後に会ったのは…3年前か?確か場所は渋谷だったな」


3年前、スピリチュアルの世界から離れた式川くんは、誰もが知る大手企業に就職した。その時、航と式川君は「お祝い」と称して二人で焼肉を食べたのだ。


大手企業でしっかり働いていると思っていたが、いつのまにかスピリチュアルの世界に戻っていたようだ。


航は少し悩んだのち、ホームページに記載されているメールアドレスにメッセージを打ち始めた。