古事記スクール

日本人のOS古事記を全ての日本人に!! 小説、イラスト…カジュアルに古事記を広めます!講座や資料提供のご相談などお気軽にご連絡ください!!

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【新古事記018】年の差

22時45分 「ん?今日は何曜日だ?」 航は連続勤務で曜日の感覚がおかしくなっていた。 今日の勤務は20代前半の男性2人と一緒だった。航と20歳以上も年が離れている。 1人は高卒3年目の掛川さん、彼は正社員だった。細身で小柄な体に大きめな制服を着ていて、…

【新古事記017】耳鳴り

08時05分 また朝がやってきた。 仕事を終えた航は、いつもより急ぎ足で帰宅した。シャワーを浴びると、スーツにネクタイを締めすぐに家を出た。 電車に乗ると吉川さんにSNSで連絡を入れた。 「今日はよろしくお願いします。今、向かっています」 昨日、「急…

【新古事記016】ルーシーはダイヤモンドと共に空へ

午前03:55 航が仮眠から戻ると、石松さんがフロントバックで読書をしていた。 「おはようございます」 普段、深夜にはロビーのBGMは停めていたが、今日はビートルズのカバー曲が休むことなく流れていた。 「Lucy in the Sky with Diamonds」 ルーシーはダイ…

イベントのお知らせ 6月

6月のイベントをお知らせいたします 「イラストでわかる古事記スクールin原宿」 イラスト付きテキストだからわかる! 古事記を知らないあなたはOSの入っていないハイスペックパソコンなようなもの。。。 古事記を知らないなんて!!悲劇です あなたに内在し…

【新古事記015】陽と航

午前01:00 石松さんが仮眠に入り、陽と航はフロントバックで2人になった。 陽は「業務リスト」と書かれた用紙を航に見せながら言った 「これとこれ、もうできますか?」 「はい、このレポートも書けますし、朝食の人数リストも作れます」 「ああ、もうそんな…

【新古事記014】ビートルズ

午後11:00 航は石松さんとフロントに立っていた ビートルズ好きの69歳。見た目によらず英語堪能、ダブルワークの石松さんである。 この時間、パラパラとだがチェックインの客がフロントを訪れていた。 今夜の体制は、陽と石松さん、そして研修生の航である。…

【新古事記013】淡い希望

聖が家を出た後、陽はベッドの中でウトウトしたり、スマホを触ったり…無駄な時間を過ごしていた。 こんなことをしていてはいけないと思いつつ、今日は夕方から仕事で夜勤もある。今のうちに身体を休めておかなければ…と言い訳して自分を甘やかした。 午前11:…

【新古事記012】CD-R

午前8:30 帰宅した航は、1枚のCDを探していた。 それは、ある映画のサウンドトラックで、多くのアーティストがビートルズのカバー曲を演奏収録したCDだった。 航は特別ビートルズが好きなわけではなかったし、洋楽を聴くわけでもなかった。でも、このCDはお…

【新古事記011】研修生

午前07:45 (ここまでくればもう一息だ) 航はそう思った。 「おはようございます」 「おはようございます」 日勤の女性2人がフロントに入ってきた。 朴さんと航は2人に業務の引き継ぎを始めた。といっても、航はただ横に突っ立て朴さんの話を聞いているだけ…

【新古事記010】眠らない45歳

【登場人物】 氷川航(ひかわわたる) 45歳。最近、ホテルの夜間フロントのアルバイトを始めた。新人なのにおじさん。家族はフルタイムで働く妻と小学1年生の娘がいる。 浅間陽(あさまひなた) 33歳。大学生の頃からホテルのフロントで働いている。趣味はス…

【新古事記009】もう一人の45歳

午後10:45 「おはようございます」 航が五十嵐さんに会うのは採用面接の日以来だった。航が採用される1ヶ月ほど前に、大きな組織編成があったそうだ。前任のチーフマネージャーが異動となり、押し上げられる形で五十嵐さんが役職のないまま宿泊課の責任者を…

【新古事記008】テレビのニュース

午後6:40 「いただきまーす」 陽と聖はテーブルを挟み向かい合っていた。テレビのニュースでは、沖縄の基地問題を取り上げていた。基地反対派が「ジュゴンの海を守れー」と叫んでいた。 それを見て聖は呟いた。 「ジュゴン、かわいそうだね」 「まあね。でも…

【新古事記007】33歳

掃除を終えた陽は、バッグから洗い物を取り出し、洗濯機に放り込んだ。その時、さっき持ち帰った求人情報誌に気がついた。 洗濯機を回し始めるとソファーに座り、なんとなく求人情報誌を眺め始めた。時折目に入る「応募条件:30歳まで」という文字。陽は胃が…

【新古事記006】寄り道②

陽が自転車を止めたのは、大手の中古本販売店の前だった。陽はコミックコーナーに足を運び、あるサッカー漫画の第7巻を手に取った。そして立ち読みを始めた。 こうしてダラダラと過ごすのが何とも楽しい。人生の無駄遣いだとわかってはいたが、陽は時々仕事…

【新古事記005】寄り道①

「あと少し…」 陽はラウンジにかけられている大きな時計に目をやった。 午前09:50 あと10分で退勤だ。 昨日は夕方05:00からの勤務だった。長い拘束時間を嫌う人もいるが、陽はむしろそれが好きだった。その方が後でまとまったプライベートの時間を持てるから…

【新古事記004】2日目②

仮眠室に入ると、航はすぐにスマホのアラームをセットした。 そして、 「終戦いつ」 と検索した。 「1945年8月15日」 やはり自分の認識に間違いはなかった。9月2日とする解釈もあるけれど、1945年には違いないし、朴さんの言う1950年ではあり得ない。 航は少…

【新古事記003】2日目①

2日目… 午後10:40 「おはようございます」 航はホテルのフロントバックにいた。その時間は、4人が勤務していた。この時間になってもチェックインが多く、皆パタパタと忙しなく動いていた。業務のことが全くわからない航は、それをただ眺めていた。焦ることも…

【新古事記002】時差ボケ

約15年ぶりの夜勤だったけれど意外と身体はキツくない。 氷川航は、初日の勤務を終え自宅に向かって歩いていた。道のりは徒歩20分。 帰宅したのは午前8:35 「悪くない」 すでに娘は学校に向かい、妻は出勤しており家はガランとしていた。帰宅してすぐにご先…

【新古事記001】リスタート

「おはようございます」 午後10:45。時間に関係なく「おはようございます」の挨拶からこの仕事はスタートする。 僕の名前は浅間陽。 大学3年の時にホテルのフロントのアルバイトをはじめた。卒業後、別の会社に就職したもののわずか半年で退社。その時に「戻…