午前07:45
(ここまでくればもう一息だ)
航はそう思った。
「おはようございます」
「おはようございます」
日勤の女性2人がフロントに入ってきた。
朴さんと航は2人に業務の引き継ぎを始めた。といっても、
2人のうち、1人は20代前半と思われる女性だった。
航には45歳の自分と彼女が同じ研修生であることが滑稽に思えた
もう1人の女性に朴さんが楽しそうに話しかけていた。
「最近、ようちゃんと勤務被んないんだよねー」
航は夜勤専属のため、
航は朴さんの会話を聞きながら
「この女性が浅間さんの彼女なんだな」
と察した。
明るくハキハキとしていて、言葉遣いも丁寧。
きっとご両親に大切に育てられたのだろう。
20年後、
午前08:00
朴さんが言った
「さ、氷川さん、時間ですよ。帰りましょう」
航は壁に貼られたシフト表に目をやった。夜勤明けのせいか、
「朴さん、ご指導ありがとうございました。五十嵐さん、
続いて女性2人に頭を下げ、航は更衣室に向かった。
着替え終えると社員通用口を出て、自宅に向かって歩き出す。
「悪くない」