巫女さんは陽をジッと見つめてから言った。
「あなたはすごく…
我慢しているというか、自分を抑えつけていませんか?」
少し間を置いてから陽は言った。
「そうなんでしょうか?
正直、よくわかりません」
巫女さんは優しく言った。
「そうですね、みなさんそうです。
そうやって…それを当たり前としてずっと生きてきたわけですから。わからなくて当然です。
ただ、もう少し…
自分に許可を与える練習をしていくと、もっと楽になると思いますよ」
「許可を与える?」
陽は巫女さんの言ってることがよくからなかった。
「あなたの魂は、私には震えて見えます。
いつも緊張して、怯えているような…」
巫女さんは続けた。
「自分なんて」って、そんな風に思っていませんか?
いいんですよ、もっと好きなものを選んで…お洋服もそうですよ。
周りの目を気にすることなく、もっと気持ちが明るくなるようなものを選んでいいんです。
あ、高いものを買うということではありませんからね」
巫女さんは目を瞑り、間を置いてから言った。
「あなた…小さな時からずっと気を使ってきたんですね。ご家族や周囲のバランスを取りながらがんばってきましたね。
あなたはもう子供ではありません。立派な大人です。もうお父様に怯えなくていいんですよ。
今、お父様もいらしてますよ。そこに」
巫女さんは陽の左肩の後ろを指差した。
陽はびっくりして聖の方を見た。陽と聖の目があった。
「父がここに来ているんですか?」
「はい、私にはそう見えます。
それにお父様だけではありません。
あなたのことはたくさんの方々が守護してくれています」
その時だった。
「ノォォォ〜〜
そういう話はやめてくれーーーっ!!」
ノブナガが叫んだ。
「お、お姉さん!!
まさか、オレの後ろに明智のミッちゃんは来ていないでしょうねぇぇぇ!!?」
巫女さんは聞いた。
「明智のミッちゃん?」
「明智光秀のことですよぉーーー
アイツ、未だにオレのこと恨んでるみたいなんで〜〜」