「ん?」
目を覚ました陽は時計を見た。
17時38分
「いけねっ!もうこんな時間!!」
陽は急いでカップ麺の残骸を処分し、食器を洗い、急いで掃除機をかけた。
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「ふぅ」
掃除機をかけ終え一呼吸つくと、陽はソファに腰を下ろした。テーブルの上には掛川君に借りたアドラーの本と『寝不足になる古事記』が置いてあった。
陽は少し迷ってから『寝不足になる古事記』を手に取り、続きを読み始めた。
少し読んでから陽は呟いた。
「この登場人物の多さはなんなんだ?
しかもやたらと名前が長いし…世界観も全く伝わってこない…」
それからしばらくすると…
18時05分
「ただいまー」
聖が帰ってきた。
「お、聖。おかえりー」
「今からご飯作るね、ちょっと待ってて」
陽は再び本に目を向けた。聖が声をかけてきた。
「ねぇ、氷川さんとのお茶、どうだった?」
陽は本を読みながら答えた。
「楽しかったよー、すごく」
「へー、どんなお話したの?」
「うーん、そうだなー…氷川さんの過去の話とか」
聖は笑った。
「なにそれ、その言い方、なんか怪しくない?」
陽は本を閉じた。そして続けた。
「あと、古事記の話をしたよ」
「え?古事記の?
古事記って龍橋神社のお巫女さんや、かなぶんが言ってた古事記だよね?」
「うん、氷川さん、古事記の先生もやってるらしいよ」
それを聞いた聖は、
「え?古事記の先生?
氷川さんが???
なにそれなにそれなにそれ〜」
目をキラキラさせながら、聖はキッチンを離れ陽の方へ近づいてきた。
「おいおい、聖…夕御飯は?」
「あう〜〜…わかりましたよー」
聖は嘆きの声を上げるとキッチンに戻った。
「超高速スピード!!」
聖はそう言うと、調理のスピードを上げた。