「さ、ザビエルの話はそのくらいにしてお参りしましょ」
「くっ、カナコ!!
人がせっかく良い話をして余韻に浸っているのに!!風情のないヤツめっ!!」
4人は朱色の第一鳥居をくぐった。
第二の鳥居は石で出来た双龍鳥居だ。
「龍さん、また来ましたよ」
聖はそう言うと頭を下げて鳥居をくぐった。4人は湧き水が流れる美しい参道を進んだ。
「とても東京とは思えないわね」
カナコが言った。
しばらく進むと楼門に随身像が構えている。それを見て聖が言った。
「クシイマワドさんとトヨイマワドさんね」
カナコが言った。
「おおー、ひーちゃん、すごいね。
私もこの随身像の名前まではわからなかったなー」
聖は鼻の下を指でこすりながら言った。
「アマテラスさんが天岩戸に入らないように守ってる神様なのよ〜
…って、前にこの神社のお巫女さんに教えてもらったんだけどね〜〜」
聖はぺろっと舌を出した。カナコが言った。
「それにしたってすごいわよ。
普通、覚えてないから。ね、ヨウくん?」
「うーん、春日神社の随身像とは姿形が違うなぁ…同じ神様なのかな?」
「え?なにあなたたち?
気がつくとノブナガは楼門に吊り下げられた大鈴の下で目を瞑り、両手を胸の前で合わせていた。そして、
パンッ!!
と大きく一度柏手を打った。柏手は振動し周囲に広がった。
「よし!!」
ノブナガは満足そうに言った。陽はノブナガに聞いた。
「ノブナガさんの願いってなんなんですか?」
ノブナガは間髪入れずに答えた。
「そんなもの決まっているだろ?
日本国の存続と繁栄よ」
「それもいいけど、妹としては早く結婚して欲しいのよね〜」
カナコがチャチャを入れた。
「ばか者!!
お前が嫁ぐより先にオレが結婚するわけにはいかん!
かわいい妹に花を持たせてやろうという兄の優しさがわからんのか!!
それに…」
カナコが割り込んだ。
「わからん。
それに…なによ?」
「オレが一人の女性のモノになってしまったら、日本中…いや、世界中の女子が悲しむわっ!!
オレは令和のオオクニヌシになるのだ!!
カーッカッカッカッカッ!!」
聖は陽の耳元で言った。
「本当に仲の良い兄妹なのね〜〜」
「うーん、そうなのかぁ???」
その時だった。
「あなたたち、境内ではもう少し静かにしてくださいね」