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【新古事記126】絶対

12時10分


少し早めの昼食を済ますと、陽は例の古本屋に向かった。


「宗教・神話」のコーナーに足を運び、棚を眺めていた。


「うーん、ないなぁ…」


目当ての「古事記まんが」は見つからなかった。ネットでも調べたが中古での取り合いはないようだった。


「人気ある本なのかなー。


でも、新品で買うのはもったいないし…」


陽はスマホで聖にメッセージを送った。


「えっと…


聖、古本屋さんで「古事記まんが」は見つからなかったよ(;ω;)


っと」


陽は店内をウロウロした。そして、マンガコーナーに行くと、サッカー漫画の続きを読みだした。


マンガを読み進めると…


サッカー留学を決めた主人公が、幼馴染の女の子に告白するシーンがあった。


「おいおい、アオハルかよ…」


その時、陽の脳裏に航の言葉が蘇ってきた。


「氷川さん、言ってたよなー。


やらなきゃいけないのは、聖と話すことだって…」


陽は気が重くなってきてページを閉じた。


「結婚となると、聖の親に挨拶してオーケーもらわなきゃだよなぁ…」


陽はまだ、聖の両親に会ったことがなかった。


年末年始などに聖に実家に遊びに行かないかと誘われたことはあった。しかし、陽はなにかと理由をつけ、それを断っていた。


人間関係は円滑に進める方だと思うけれど、やっぱり人見知りなのだろう。


聖は残念そうではあったけれど、強要することはしなかった。しかし、付き合って3年にもなって、一度も顔を出していないのは流石にまずい気がした。


陽は先延ばしにしてきたことを今になって後悔していた。


「こんなことならさっさと挨拶に行けばよかったな…」

「よし!今夜、聖に話そう。


きっと


たぶん…」