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【新古事記142】ワクワクすること?

掛川さん、具体的に何がやりたいとあるんですか?


確か、電車が好きで旅行関係の専門学校を卒業されたんですよね?」


航は掛川さんに質問してみた。


「はい。


何をやりたいかはまだわからないんですけど…もともとホテル業も妥協して選んだ部分が、ありますし。


これから「ワクワクすること」を見つけて行って、いずれそういうことを仕事に出来たらって思います」


「ワクワクすることですか…」


ガチャ


そこへ五十嵐さんが戻ってきた。


「え?五十嵐さん?


まだ1時間しか経ってないですよ?」


「いいんだ、いいんだ。


仕事が気になっちゃって、休んでられないよ」


五十嵐さんはそういうと、またパソコンに向かい出した。


掛川さんは遣る瀬無い表情で、しばらく五十嵐さんの背中を見つめていた。フロントバックは重くるしい空気に包まれた。


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6時30分


「んじゃ、私、行ってくるからねー」


聖の声で陽は目を覚ました。寝ぼけたまま陽は答えた。


「んー、いってらー」


「ヨウ、今日は11時からでしょ?


あとでね。いってきまーす」


陽は身体を起こすとスマホを確認した。航からの返信はなかった。


陽は少しがっかりした。


そのままリビングに行くと、冷蔵庫を開け、発泡酒に手をのばしかけたが、手に取ったのは紙パックのアイスコーヒーだった。


アイスコーヒーをコップに注ぎ、ソファに座る。


「あれ?聖、持って行かなかったんだ」


テーブルには「古事記まんが」が置かれていた。


陽はぶどう入りの食パンを2枚焼き、昨夜の味噌汁を温め直した。焼き終えた食パンにマーガリンを塗る。


テレビを見ながら一人で寂しい朝ごはんを済ます。食器を洗い終えると聖にメッセージを送った。


「聖、「古事記まんが」忘れてるよ。


少しだけど電車で読めるのに。


あんなに読みたがってたじゃん」


するとすぐに聖から返事が来た。


「聖はあとでいいよ。


ヨウは氷川さんとのやりとりもあるでしょ?


だから、ヨウが先に読んでね」


陽は呟いた。


「聖って…


やっぱいいヤツだよなぁ〜〜」