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【新古事記126】怪しいメール

石松さんと航は更衣室で並んで着替えていた。


石松さんはジャケットを脱ぎネクタイを外した。制服のパンツを履き替えるとワイシャツ姿のまま更衣室を出て行った。


「氷川さん、お先に失礼します」


航は答えた。


「はい、お疲れ様でした。またよろしくお願いします」


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8時50分


帰宅した航はアップルパイを食べ終えると、スマホをチェックした。


1通のメールが届いていた。


「ん?」


宛先不明のメールだった。タイトルは「はじめまして。質問です」となっていた。


不審に思った航は、メールを開かなかった。


(迷惑メールの類いだろう)


航は日頃から怪しいメールは開かないよう心がけていた。スマホを置き浴室に向かう。


シャワーを浴び歯を磨くと、目は覚めたがどっと疲れが出た。昨日、無理をしすぎたかもしれない。


航はベッドに向かい、そのまま倒れ込んだ。

体は疲れていたが妙に頭は冴えていた。



「気になるな」


航は身体を起こすとスマホを操作し、さっきのメールを呼び出した。


(開くだけなら大丈夫だろう)


航は怪しげなメールを開いてみた。


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タイトル:はじめまして。質問です

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氷川様


はじめまして。

突然のメール、失礼いたします。

私は岡山と鳥取の県境の西粟倉村というところで茅葺の家を保存するべく活動しております宮瀬と申します。


先生のブログを拝見し、古事記の講座に大変興味を持ちご連絡差し上げました。


私も含め、古事記について触れたことのない人が大変多いと思います。そこで、古事記に触れるきっかけを作れないものかと考えております。


先生はどのあたりまで出張されていますか?


また、その場合の講師料や出張費などお教えいただけないでしょうか?


よろしくお願いいたします。


宮瀬清子