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【新古事記069】33歳の迷い

「僕には…


僕にはもう遠回りしている時間なんてありません。


僕は33歳です。掛川君や李君とは違います」


それを聞いた航はいたずらっぽく言った。


「僕は45歳ですけどね〜〜」


「あっ…


いや、なんか


すみません」


それを聞いて航は笑った。釣られて陽も笑った。


「33歳ってね、浅間さんが思っているより相当若いですよ。


はっきり言って、浅間さんにはかなり時間が残されています。何でも…とは言いませんが多くのことを叶える可能性はあると思います」


「多くのことを叶えらる?」


「もちろんプロサッカー選手とかは無理ですけどね。


まあ僕も33歳の頃…というか24〜5歳で「もうこんな歳だ」って思ってましたね」


陽はため息をついた。


「僕はこれからどうすれば良いんでしょう?」


陽は深刻な顔をした。それを見て航は笑った。


「それ、僕に聞きますか?


45歳のフリーターですよ」


「うーん、たしかに45歳のフリーターって普通じゃないです。


でもなんか…氷川さんは…


幸せそうに見えます」


そして続けた。


「僕も掛川君みたいに自己啓発の本を読んだりしたほうがいいのかなぁ…」


それを聞いた航は言った。


「みんなそうやって、知らない人に答えを求めちゃうんですよね」