陽はハッとした。
「氷川さん、忘れるところでした。
今日、お聞きしたかったのが…
古事記のことなんです」
「え!?」
それを聞いた航は驚いた。
「イザナギ、イザナミって…僕は全然知らないですけど、古事記に出てくるんですよね?
昨夜、氷川さんは掛川君にアドラーの他に古事記を薦めたとおっしゃいましたよね?
実は先日、聖と龍橋神社という神社をお参りしたんです。
そこの巫女さんとおかしな兄妹も古事記って言っていたんです」
「へぇ、龍橋神社。よく知っていましたね」
「ご存知なんですか?」
「お参りしたことはありますよ」
陽は目の前にいる航が、同じ神社をお参りしていたことが何となく不思議に思えた。
「あっそうだ!!
僕、これ使ってるんですよ」
陽はそう言うとバッグから双龍の手ぬぐいを取り出し、航に見せた。
「聖が選んでくれたんですけど。
かっこよくないですか?
結構、気に入っています」
航は笑った。そして、バッグから同じ手ぬぐいを取り出した。
それを見た陽はびっくりした。
「こんなことあるんですね!?」
そして2人で声を合わせて笑った。