聖は心配そうに言った。
「でも、お兄さんに…怒ってる明智光秀さんが憑いてるって…」
「そ、そんなもの恐るに足らん!
オレは第六天魔王の生まれ変わりだぞ!!
カーッカッカッカッカッ!!」
ノブナガは強がって笑った。
「でも、名前がノブナガで明智光秀が憑いてるって…偶然とは思えませんよね」
オーナーが言った。
「そこに置いてあるパワーストーンのブレス…それ付けるといいよ。
宇宙エネルギー下ろしてあるから。5,000円にまけとくよ」
「ご、ご、5,000円だと!?オレにそんな大金払えるわけないだろう!!
それに…完全に霊感商法じゃねえかっ!!」
「ふーん。ま、いいけど」
オーナーはノブナガに冷たい視線を送ると、クルリと背を向けカウンターに戻っていった。
ノブナガはソワソワと背後を気にしだした。
「うーん、そう言われると背後に誰かいるような…いや、いるわけないだろ!!」
「お兄ちゃん、今40歳でしょ?」
「ん?そうだが?」
「じゃ、大丈夫よ。あと10年くらいは生きられるわ。人間50年なんでしょ?」
「カナコッ!!お前、変なこと言うんじゃねーっ!!
その時、聖が言った。
「ところで…高杉晋作って誰でしたっけ?
明智光秀は聞いたことあるけど…高杉晋作って学校で習ったかしら?
ヨウは知ってる?」
「いや、オレも名前くらいしか知らない。
新撰組とかあの頃の人だろ?
100円札になった人だっけ?」
ノブナガは右手で顔を覆いながら言った。
「それは板垣退助っ!!
じ、実に嘆かわしい。日本が世界に誇るキング・オブ・ロック!!高杉晋作を知らないとは…」
聖は申し訳なさそうに言った。
「すみません」
ノブナガは言った。
「いや、聖ちゃんが悪いわけではない。この国の…日本の教育が間違っているだけだ」
カナコが冷たい視線を送った。
「お兄ちゃん、なに急にヒジリちゃんとか呼んでんの。きもっ、このおっさん、きもっ!!」
「べ、別にふつーだろが!!」
その時、広末さんが呟いた。
「高杉晋作か…」