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【新古事記055】キング・オブ・ロック

聖は心配そうに言った。


「でも、お兄さんに…怒ってる明智光秀さんが憑いてるって…」


「そ、そんなもの恐るに足らん!


オレは第六天魔王の生まれ変わりだぞ!!


カーッカッカッカッカッ!!」


ノブナガは強がって笑った。


「でも、名前がノブナガで明智光秀が憑いてるって…偶然とは思えませんよね」


オーナーが言った。


「そこに置いてあるパワーストーンのブレス…それ付けるといいよ。


宇宙エネルギー下ろしてあるから。5,000円にまけとくよ」


「ご、ご、5,000円だと!?オレにそんな大金払えるわけないだろう!!


それに…完全に霊感商法じゃねえかっ!!」


「ふーん。ま、いいけど」


オーナーはノブナガに冷たい視線を送ると、クルリと背を向けカウンターに戻っていった。


ノブナガはソワソワと背後を気にしだした。


「うーん、そう言われると背後に誰かいるような…いや、いるわけないだろ!!」


「お兄ちゃん、今40歳でしょ?」

 

「ん?そうだが?」


「じゃ、大丈夫よ。あと10年くらいは生きられるわ。人間50年なんでしょ?」


「カナコッ!!お前、変なこと言うんじゃねーっ!!


その時、聖が言った。


「ところで…高杉晋作って誰でしたっけ?


明智光秀は聞いたことあるけど…高杉晋作って学校で習ったかしら?


ヨウは知ってる?」


「いや、オレも名前くらいしか知らない。


新撰組とかあの頃の人だろ?


100円札になった人だっけ?」


ノブナガは右手で顔を覆いながら言った。


「それは板垣退助っ!!


じ、実に嘆かわしい。日本が世界に誇るキング・オブ・ロック!!高杉晋作を知らないとは…」


聖は申し訳なさそうに言った。


「すみません」


ノブナガは言った。


「いや、聖ちゃんが悪いわけではない。この国の…日本の教育が間違っているだけだ」


カナコが冷たい視線を送った。


「お兄ちゃん、なに急にヒジリちゃんとか呼んでんの。きもっ、このおっさん、きもっ!!」


「べ、別にふつーだろが!!」


その時、広末さんが呟いた。


高杉晋作か…」