~これまでのお話~
八十神(ヤソガミ:オオナムヂの兄達)に命を狙われ続けたオオナムヂは、紀の国に住むオオヤビコに匿ってもらいました。しかし、執念深い兄達に所在を突き止められたため、オオヤビコの提案により根の国に逃れることにしました。
オオヤビコから根の国に逃げるよう提案されたオオナムヂはいいました。
「オオヤビコ、これまで匿ってくれてありがとう。私はあなたの言う通り根の国に逃れることにしよう。」
すると少し遠くから、大勢の声が聞こえてきました。
「どこだ?どこに行った?」
「ん?ここに足跡があるぞ!!」
「このあたりにいるようだな」
「オオナムヂめ、逃がさんぞ!!」
「オオナムヂ様、どうやらヤソガミが近づいてきたようです。お名残り惜しいですが急ぎましょう。」
そして、大木の根の俣の部分を指さし、
「これは秘密の通路です。まっすぐに進むと根の国に辿り着けます。」
「ありがとう、オオヤビコ。お達者で・・・」
オオナムヂが木の根の俣に身を隠すかどうかという時に、山中に大声が響きました。
「いたぞ!!あそこだっ!!」
ヤソガミが大木に駆け寄ってきました。
「もう逃がさんぞ、オオナムヂ!!」
「ん?いないぞ?」
「そんなわけあるかっ!?」
ヤソガミは大木の周辺をくまなく探しましたが、オオナムヂの姿はどこにもありません。木の俣の通路は、木の神であるオオヤビコにしか見えないものでした。
この時、オオヤビコも姿を木に変えていたため、兄達には見つけることが出来ませんでした。
しばらく大木の周辺をウロウロと探していたヤソガミでしたが、オオナムヂがいないとわかるとその場を去っていきました。
よう
【年内最後ラスト!古事記講義のお知らせ】