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【新古事記162】悲劇の仏壇

「まあこんな話、人にすることでもないと思いますけど…


僕が子供の頃…親戚のおじさんが結婚して…


ところが、おじさんの相手が新興宗教にハマっていたんですよ。


結婚後、おじさん夫婦は祖父母の家で暮らしていたんです。二世帯ってやつです。


結婚相手は親族がまるっと宗教に入っていて、優しかったおじさんは時間とともに断れずにどんどん取り込まれていって…


いつのまにか祖父母の家はぐちゃぐちゃになってしまいました。


たまに遊びに行くと部屋のサイズに似つかわしくない巨大な仏壇があって…おじさん、かなり無理して買わされたらしいんです。


まあその他にも色々あったんですけど、ご先祖様のために仏壇にお金をかけて、結果生活がぐちゃぐちゃになるなんて…そんなのおかしくないですか?」


カナコは頷いて聞いていた。


「うーん、なるほどね。


それは確かに大変だったわね」


陽は言った。


「僕にはとてもじゃないけど仏壇なんて買うお金もなきし、置くスペースもありませんよ。


それに僕は仏壇なんて嫌いです」


ノブナガが言った。


「もやしよ、何も無理をすることはないのだ。


身の丈にあったやり方でいい」


「そうそう、無理して高価な仏壇買わせるなんて、それがおかしいのであって仏壇に罪はないわ」


ノブナガが続けた。


「1日のはじまりと終わりに神棚に手を合わせ、ご先祖様にお線香を供える。


そんな当たり前のこともできない奴のなんと多いことか!!


そんな奴に限って、やれ占いだのスピリチュアルだの言いやがる。


ご先祖様にも目を向けずまともな人生など送れるはずがなかろう!!それが道理だ!!」


カナコが言った。


「ヨウくん、ご先祖様に手を合わせるのはね…


もちろん、ご先祖様の幸せを想ってやるわけだけど、結果的に自分のためにもなるのよ」


「自分のため?」


「そう…


神棚や仏壇に…別に仏壇にこだわらなくてもいいけど、そこで手を合わせている時間。


その時、私たちは神様やご先祖様と対話をしているの。その時に繋がりを感じるのよ。


それが私たちの根っこになるのよ。


やればわかるわ」


聖が感心して言った。


「神様とご先祖様か〜〜


私、なんとなく神社は好きだけどお寺は好きになれなかったんだよね。


なんか辛気臭いというか…


でも、両方大事よね。あ、もとは神様もご先祖様も一緒なのかも知れないけど。


今はまだよくわからないけど、私、30年近くも大切なことを知らずに過ごして来ちゃった気がするなぁ〜〜


ノブナガさんもかなぶんも、とても素敵だわ」