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【新古事記171】クラオカミとタカオカミ

「ああ、あのシーンですね」


聖はポンと手を叩くと陽の背後に回り、背伸びして陽のリュックを開けた。


「おい、聖〜。なにやってんだよ〜〜」


「あったあった」


聖は陽のリュックから「古事記まんが」を取り出した。そして、ページをめくって言った。


「あったあった。

ほんとだ!クラオカミ、雨を呼ぶ龍神だって!!」


それを見たノブナガとカナコが驚いた顔をした。


「ん?かなぶん、どうかした?」


聖が聞くとノブナガが喋り出そうとした。


「その本は…


んぐ、んぐぐぐっ!!」


カナコが背伸びをしながら必死にノブナガの口を抑えた。


「お兄ちゃんが喋り出すと話が進まなくなるから。


お願いだから黙ってて」


二人の様子を見た巫女さんが微笑みながら言った。


「クラオカミの名前を覚えていないのは無理もありません。


出てくるのは名前だけで、目立った活躍をするわけではありませんから。


古事記はそういう神様がとても多いんですよ」


聖が言った。


「でも、何で火の神様を斬り殺すと龍神様が生まれるのかしら?」


陽が言った。


「そう言えば…


氷川さんが言ってたんだ。


イザナミの死から火の神を斬り殺すまで…


これを火山噴火による地殻変動として捉えるとつじつまが合う…って」


カナコが言った。


「なるほど。


イザナミが母なる大地だとしたら…

 

火山噴火がおこり、大地が隆起し…


ゲロが鉱山になり、おしっこが小川になり…


納得ね」


巫女さんが言った。


「素晴らしい捉え方だと思います。


火山が噴火し、大量の水蒸気が上がり…


雲になりやがて雨となり地上に降り注ぐ。


渓谷になり、滝になり…


古代の人は、それをクラオカミ、タカオカミという龍神として祀ったのかもしれませんね」