お参りを終えた陽と聖にカナコが声をかけてきた。
「ヨウくん、大丈夫?」
「むっ!もやし!!?
これは大変だっ!!
お前にはンバッハブビーンの霊が取り憑いておる!!
早く聖ちゃんから手を引け!!
それしかお前の助かる道はないぞ!!」
カナコがノブナガを睨んだ。
「なにがンバッハブビーンよっ!!
まったくもう!!」
巫女さんが微笑みながら陽に言った。
「フフフ、大丈夫ですよ。
あなたはちゃんと護られています。
怯えなくていいんですよ。
なんの心配もいりません」
陽は言った。
「は、はい。
不思議な体験だったもので…
ちょっと戸惑いはありましたけど大丈夫です」
「ええ。その体験は、悪いことではありません。
安心してください」
巫女さんは念を押すように言った。
「よかったね、ヨウ」
巫女さんの言葉を聞き、聖もホッとした様子を見せた。
「どれ、お参りも終えたしそろそろメシでも食いにいくとするか!!」
ノブナガが元気よく言った。
「ようこそお参りくださいました」
巫女さんがそう言って頭を下げると、聖が寂しそうに言った。
「わたし…またお姉さんに会えるかしら?
だって、普段は大阪なんでしょ?」
カナコがスマホを取り出しズイと前に出た。
「お姉さん、連絡先交換しましょう」
すると巫女さんが言った。
「私、あいにくですがそういったものは所持しておりませんの」
それを聞いたカナコは驚いて言った。
「え?スマホ持ってないんですか?」
続いて聖が言った。
「ガラケーは?ガラケーもありませんか?」
巫女さんは残念そうに言った。
「はい、所持しておりません」
「ポケベ…」
ガツッ!!
「ポーウッ!!」
ノブナガがおかしな悲鳴をあげた。カナコがノブナガにローキックを喰らわせたのだ。
「聞かなくてよろしいっ!!」
「痛っーー!!
なんて凶暴なヤツだ!!」
ノブナガはカナコに蹴られた脛をさすりながら言った。
「安心しろ、カナコ!!
オレと巫女さんが結婚すれば、巫女さんはお前のお義姉さんとなるのだ!!
巫女さんと連絡を取りたければ、お兄ちゃんに連絡してこい!!
カーッカッカッカッ!!」
ノブナガが高らかに笑った。