「ヨウくん、とにかくさっさと結婚した方がいいよ。ひーちゃん、披露宴には私も呼んでねー」
聖は笑いながら即答した。
「ぜひぜひ!!」
「披露宴?カナコは家族なんだから挙式にも参列してもらうぞ…」
ノブナガが口を挟んできた。
「まだ言っとんのか!このボケ兄貴!!」
バキッ
「いてーなー!!お前は加減というものを知らないのか!!岡山の両親が泣いとるぞ!!」
「ヨウくん、またこういう変なヤツが現れる前にひーちゃんと結婚するんだよ」
13時30分
広末さんが言った。
「もうこんな時間か。僕は次の約束があるからそろそろ行かないと」
「あ、私たちも出ます。ひーちゃん達はどーする?」
「あ、僕たちもそろそろ帰ります」
全員が席を立ち、レジに進んだ。広末さんが会計を済ます。
その時、ノブナガとオーナーの目があった。
(な、なんだ、この全てを見透かすような目は…まさか本当にオレに光秀の霊が憑いているのか…
さっきの犬のクソの件もあるし…こいつ只者ではないのかもしれん!!
いや、そんなわけがあるか…)
ノブナガは思わずオーナーから目をそらした。カナコが言った。
「ん?お兄ちゃん、どうしたの?顔悪いよ」
「か、顔じゃなくて顔色だろーがっ!!」
その時、広末さんが言った。
「これもください」
そう言って手に取ったのは、オーナーがノブナガに勧めたパワーストーンのブレスレットだった。
「5,000円でーす」
広末さんはブレスレットを受け取ると、ノブナガに差し出した。
「これ、ノブナガ君にぴったりだと思うよ」
カナコが言った。
「ちょっと、広末さん!!それをいただくわけにはいきません」
「いいからいいから。人の好意は素直に受け取るものだよ」
ノブナガはブレスレットを受け取ると、膝まずき頭を下げた。
「広末さん、ありがとうござる。この恩は一生わすれませぬ」
「…ござるって、、、ちょっとお兄ちゃん、さすがに恥ずかしいからやめてよ!!」
広末さんが笑った。陽と聖も笑った。