「ちょっと待った!!
婚約など、そんなことはオレが許さん!!
聖ちゃん、そんなモヤシのような男とは別れてオレと付き合わないか?」
ノブナガが帰ってきた。
「お兄ちゃん!!
せっかく良いとこなのに邪魔しないでよ!!
それに、なんでひーちゃんとお兄ちゃんが付き合うのよっ!!
ん?ところで随分と遅かったけど何かあったの?」
「い、いや、何もないぞ!!
ちょっと商店街の見回りをしてきたのだ!!新撰組のようになっ。
商店街の治安を護る現代の沖田総司、須賀暢長とはオレのことだっ!!
カーッカッカッカッ!!」
「まったくもう、暑苦しいっ!!
沖田総司はそんなに暑苦しくないわよっ」
「お前に言われたくないわっ!!
それに沖田総司の容姿は諸説がある。
ヒラメ顔だったとか…色々言われてるんだぞ」
「めんどくさっ!!」
兄妹のやり取りを見た聖はクスクス笑った。
「じゃ、話を進めましょ。
ヨウ君はひーちゃんと結婚したいんでしょ?」
「…そ、そりゃあまあ」
「じゃあ、ひーちゃんもいいでしょ?
お金なんか2人の力を合わせればなんとかなるのよ、それが結婚よ」
カナコはうっとりとしながら言った。
「カナコさん、そういうあなたは結婚してるんですか?」
陽は口を挟んだ。
「シャラーーーーップ。それはそれ、これはこれ」
聖が口を開いた。
「うん、わたし、普通でいいのよ」
聖が言うと、再びカナコが続けた。
「えらい!!ひーちゃん
じゃ、新婚旅行はどこにする?」
(本当に止まらないな)
陽は諦めて黙ってカナコの話を聞いていた。
「うーん…湯河原とか?」
カナコは目を輝かせた。
「熱海ですらなくて湯河原!!
ひーちゃん、しぶっ!!」
「わたし、別に海外旅行とかそんなに興味なくて。湯河原、近いし。
それに湯河原だって海外から見たら海外でしょ?あれ、変なこと言ってます?」
「ひーちゃん、あなた最高よ。
そうよね、フェラーリも軽自動車も見える景色は一緒よね。たぶん」
カナコと聖の女子トークは熱を帯びていった。