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【新古事記114】奇貨居くべし

「失礼します」


障子が開き、和モダンな雰囲気の個室に店員が入ってきた。


「おー、きましたね!」


吉川さんが嬉しそうな声を上げた。


店員が肉とタレの説明をした後、蒸籠に肉と野菜を丁寧に並べていった。


航が言った。


「鴨肉もあるんですねー」


「はい、うちの合鴨はおススメですよ」


江本さんが言った。


鴨長明の話の後に鴨肉は食べづらいですね」


それを聞いて皆が笑った。


準備を終えると店員が聞いてきた。


「このまましばらくお待ちください。


お飲み物はどうされますか?」


航以外の3人は即答でビールを注文した。航は遠慮気味にジンジャーエールを注文した。


鳥海さんが聞いた。


「お酒、ダメなんですか?」


「いえ、実はこの後、夜勤なんです」


「えっ!?」


吉川さんが言った。


「氷川さんは古事記の活動をメインでおこなうため転職されたんですよ」


「えっ!!?」


鳥海さんが二度驚いた。航が口を開いた。


「まぁ、子供のこともありまして、夜勤をやってみようかと。


それに、無理だったらまた考えればいいですから。


あ、みなさんは気にせず飲んでください。というか、僕だけすみません」


吉川さんが言った。


「さっきも言いましたけど、氷川さんの古事記は面白いですよ。


まだほとんどの人が気づいていませんが」


航が言った。


「ありがとうございます。


吉川さんも話せば話すほど只者ではないですけどね。サラリーマンとは思えません。


吉川さんの応援は、本当に嬉しいですしありがたいです。


僕にとっては孫子みたいな存在です」


「おお、孫子ですか」


鳥海さんが嬉しそうに言った。


吉川さんは言った。


「奇貨居くべし、ですよ」


「ふふ、呂不韋ですね」


吉川さんが続けた。


「日本の多くの経営者は、お金持ちになったらゴルフと女…そんな人が多いです。


そこには文化も教養もない。本当に情けないですよ。

 

絵画や音楽、触れるべきものはたくさんあると思いますが…氷川さんの古事記も聞くべきです。


もちろん、政治家にも聞かせたい」


航が言った。


「ありがとう、吉川さん。


僕も…古事記を知らない政治家なんかに日本を任せたくないですよ」