「おーー」
聖はスマホの画面を眺めながら感嘆の声をあげた。
「どしたの?」
陽は聞いた。
「なほほん、あびこなんさんのお話会に申し込んだって」
「え?赤ちゃんは?
ってゆーか、あびこみなみさんだろ」
「SNSであびこなんさんに連絡したら、すぐにこじんまりとしたアットホームな集まりだから子連れもオーケーって返事が来たんだって。
あびこなんさんも誠実だよね、すぐに連絡くれるなんて。きっと、私、好きになると思う」
「え?ファシリテーターに連絡しちゃったの?
奈帆ちゃん、行動力あるなぁ…」
「そうそう、なほほんはそういうところあるんだよ。
ま、マブダチのひーちゃんからの情報ということも大きいのでしょう」
聖は得意げに人差し指で鼻の下をこすった。
「いや、そもそもオレの情報じゃん?」
「うんうん、そうだね。
ヨウ、グッジョブ」
そして、聖は続けた。
「なんかよくわからないけどさ。
ヨウが氷川さんを誘って…繋がるというか、何が起こりそうな予感がするね」
「それを言うなら聖が龍の本を買って龍橋神社に行こうって言い出したから…」
「うん。色々な出来事が繋がってるね。
ねね、ヨウ」
「ん?なに?」
「軽く古事記、挫折したって言ってたよね?」
「うん。なんか氷川さんに会わせる顔がないな…」
「それは大丈夫よ。氷川さんも何度も挫折したんでしょ?」
「まぁそうだけど」
「だからさ、氷川さんに古事記の何が良いのか聞いてみようよ。
もちろん、わたしも一緒に」
「うーん、いいけどさ。
なかなか時間合わせるの大変だぜ?」
「ま、慌てなくてもいいからさ。
なほほんも名古屋で古事記デビューするわけだから、いいタイミングだと思うんだよ。
私、古事記に興味あるよ。本はつまらないけど」
「まぁ…今度、氷川さんに聞いとくよ」
「ヨウ…」
「ん?」
「今度じゃなく…
今、聞いて欲しいでござる!!」