時間が進み、4人はすっかり打ち解けていた。
鳥海さんが言った。
あれ、怖いですよねー」
航が言った。
「ああ、ヒノカグツチですね」
江本さんが聞いた。
「ヒノカグツチ?火のカグってどういう意味です?」
「僕の勝手な解釈ですが…
カグというのはカゲのことだと思います」
「火のカゲ?」
「カゲというのはもともと輝くという意味だったと思うんです。
昭和の歌にあるでしょう?
星影のナントカや月影のナントカって。
あれは暗いカゲではありませんよね。
あ、江本さんは知らないかな?」
吉川さんが感心して言った。
「なるほどー。火が輝くなら納得いきます。
上杉景勝のカゲも輝くなのかもしれませんね」
「はい、絶景って言いますしね」
「一気にいい名前になりますね」
吉川さんが笑った。
鳥海さんが言った。
「ああ、それなら天の香具山もね、輝く山ですもんね。
かぐや姫なんかモロにそうですね。暗い姫でなく輝く姫だ」
江本さんが言った。
「ああ、それならよくわかります」
鳥海さんが続けた。
「僕、かぐや姫で日本人ってすごいなって思ったシーンがあるんです」
「どこです?」
「どこですか?」
吉川さんと航が同時に聞いた。
「帝が不老不死の薬を月に一番近い場所…つまり富士山で焼くように命じるでしょ?
富士山が日本一って平安初期の段階で知ってたってことでしょ?」
吉川さんが感心した。
「確かに…」
航がつぶやいた。
「不死の薬…だから富士山」
鳥海さんがニコリと笑って言った。
「そうですね」