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【新古事記128】やさしい世界

「はいはーい、ご飯ですよー


読書は中止してくださーい」


聖が夕食を運んできた。陽は本を閉じソファの上に置いた。


「いただきまーす」

「いただきまーす」


食事を始めるとすぐ聖が尋ねてきた。


「どう?その本?」


「うん、前のよりずっと読みやすそうではある。


イラストかわいいし。きっと作者の方もオシャレな感じの人なんだろうなー。


ノブナガさんとは真逆のような人だと思う」


「わー、また会いたいね。


かなぶん、元気かなー」


「あの二人は地球最後の日でも元気なんじゃない、きっと」


それを聞いた聖は笑った。陽は続けた。

 

「それと、神様って1人2人じゃなくて一柱二柱って数えるんだな。そういうの面白い」


「それ、龍橋神社のお巫女さんが言ってたよ」


「そうだっけ?よく覚えてるな、聖は。


でも…」


「でも?」


「どうやら冒頭に「この世のはじまり」が描かれているってことはわかったけど、何が書いてあるのかさっぱりわからない。


あと神様の名前がなぁ…。平気で10文字超えてくるもん。覚えられないから全然読み進められない。先が思いやられる」


「うんうん、わかる。


私もそう思ったよ」


アポロンとかゼウスとか、そっちの方がまだ馴染みあるし、名前も覚えやすいよなぁ」


「確かにねー。


アキレス腱のアキレスとか覚えやすいもんねー」


陽は話題を変えようとした。


「聖、ところでさ…」


「あっ、うん、なほほんのことでしょ?


今日だよね、あびこなんさんのお話会」


「あっ、そ、そうだね。赤ちゃん連れてて大丈夫だったのかなー」


「大丈夫でしょ。


色々言われるけど…みんな優しいよ、ほとんどの人はね。


赤ちゃんにイラつくとか…


そんな人間の出来ていない人、ほんの僅かだと思うのよ、わたしは」


それを聞いた陽は航との会話を思い出していた。そして言った。


「聖はこの世を信頼してるんだな」


「うん、信頼してるよ。


さ、ヨウ、ご飯食べちゃおう」