「ふーん」
聖は何度も頷きながら陽の話を聞いていた。そして続けた。
「いいなぁ、私も氷川さんとお話してみたいな」
陽は言った。
「今度、聖も紹介するよ」
「おっ、なになにその仲良し感?」
聖は笑って言った。
「そんなんじゃないけどさ。
あとね、少名彦コーヒーのマスターも素敵なんだよなぁ。今度一緒にお茶行こう」
「お、いいね、うん、行こう行こう」
「あ、それからさ…」
「うん?」
「帰りに春日神社をお参りしてきたんだよ」
「春日神社?」
「うん、うちのすぐ近くにあってさ。
そんなに大きくはないけど…
なんか、いい感じの神社だったよ。今度、一緒に行こう」
「おお!!」
聖は感心したように言った。
「まさかヨウから神社に行こうと誘われるとは…時代は変わったねー。
わたしゃー、嬉しいよ」
「お、おばあさんか…
あ、それからさ…」
陽はテーブルの上に2冊の本を出した。
「これは掛川君に借りたアドラーの本。もともとは氷川さんのもので、掛川君が貰ったんだって。
んで、こっちは古事記。帰りに買ってきたんだー。まだ全然読めてないけど…」
「ほへーーー」
聖は変な声を出した。
聖は古事記の本に手を伸ばしかけ…途中で止めた。
「ヨウ、私、先に洗い物するから。
お風呂入っちゃいなよ」
陽はそんな聖を見て笑った。
「やるべきことは先に終わらせたいタイプ…それが聖」
聖は恨めしそうに陽を見た。
「私だって今すぐ、読みたいけどねー
ここは…我慢っ!!」
聖はそういうと、テーブルの食器を下げ始めた。