「それでもし、
『私は月収100万円の人としか結婚しない』
と言われたら、100万円稼ぐか結婚を諦めるか考えましょう」
陽は苦笑いした。
「聖はそんなこと言いませんよ」
「でしょう?
だから切り出せばいいんです。準備が出来たら…なんて思っていたら一生話は進みませんよ。やりながら整えるしかありません」
航は続けた。
「浅間さん、もし…
先に聖さんから『結婚しよう』って言われたらどうします?」
「え?そりゃオーケーしますよ」
「何か物足りなくないですか?」
「うーん、まあなんとなく…なんだろ?
ちょっとこう、気合いが入らないというか…」
「こういうことを言うと怒られそうですが…
やっぱり結婚は男から!だと思います。
仮の話…
お二人が結婚して、いざこざが起こったとするでしょう?」
陽は少しムッとした。
「まぁそう言うこともあるかもしれませんね…」
「気を悪くしないでくださいね、仮の話です。
もし聖さんからプロポーズしてたら『お前が結婚してくれって言ったんじゃないか!』って浅間さんは逃げられるんです。
でも、浅間さんからプロポーズしていたら逃げられない」
航はまた笑った。
「う、確かにそうかもしれません」
「男女平等とは言いますけど、やっぱり違いを認めないといけないように思います。
男は守り、女は守られる。それが自然じゃないですか?
自然界もね、だいたいオスからプロポーズしますしね。男尊女卑ってことでなく、それがこの世の摂理なんじゃないですかね。