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【新古事記060】カナコ・ワールド

「で、二人はどこで出会ったのー?」


「えー、職場ですよ、職場」


「ふーん社内恋愛ってやつかぁ


で、仕事、何やってんの?」


「ホテルのフロントです」


聖とカナコはすっかり打ち解けていた。


「私、もともと、居酒屋で働いてたんです。そこに今の上司に当たる…三木部長って人が常連さんで来てたんです。


で、「お前、すぐに正社員にしてやるからうちで働け」って言われて」


聖がそういうと、陽が言葉を被せた。


「でも、全然社員にしてくれなかったんだよな」


「そうそう、で、ヨウが「話がおかしい」って上の人に掛け合ってくれて…」


カナコは嬉しそうニヤリとした。


「ふーん、ヨウくん、見た目によらずやるときはやるんだね。


で、いつひーちゃんをお嫁さんにするわけ?」


カナコは遠慮なく核心を突いてきた。ヨウは動揺して言った。


「い、いや、オレ、給料安いから…」


カナコは容赦なかった。


「そんなこと言ってたらいつまでたっても結婚出来ないし、ひーちゃんがおばあちゃんになっちゃうよ?


人はね、歳を取るのよー」


カナコはしみじみとした感じで言った。陽はは反論した。


「カナコさん?


あなたどう見ても年下じゃん!?」


「わたし?33歳だけど?


あ、わたしのことはかなぶんって呼んで」


「33歳!?


見えねーっ!!っていうか、オレと同い年」


「わー、かなぶんって呼び方、なんかかわいい。わたしもかなぶんって呼んでいい?」


「もちろんよ、ひーちゃん」


広末さんはそのやり取りを楽しそうに見つめていた。


「じゃあさ…」


カナコは話を続けた。


(よく喋るなぁ)


陽は呆れるのを通り越して感心していた。


「今、この場で婚約しちゃえば?」


「え?」

「え?」


陽と聖の声が重なった。


「なんでそうなるんだっ?!」


陽がそう言った時だった。店内に大きな声が響き渡った。


「その婚約、ちょっと待ったーーーっっっ!!!」