「で、二人はどこで出会ったのー?」
「えー、職場ですよ、職場」
「ふーん社内恋愛ってやつかぁ
で、仕事、何やってんの?」
「ホテルのフロントです」
聖とカナコはすっかり打ち解けていた。
「私、もともと、居酒屋で働いてたんです。そこに今の上司に当たる…三木部長って人が常連さんで来てたんです。
で、「お前、すぐに正社員にしてやるからうちで働け」って言われて」
聖がそういうと、陽が言葉を被せた。
「でも、全然社員にしてくれなかったんだよな」
「そうそう、で、ヨウが「話がおかしい」って上の人に掛け合ってくれて…」
カナコは嬉しそうニヤリとした。
「ふーん、ヨウくん、見た目によらずやるときはやるんだね。
で、いつひーちゃんをお嫁さんにするわけ?」
カナコは遠慮なく核心を突いてきた。ヨウは動揺して言った。
「い、いや、オレ、給料安いから…」
カナコは容赦なかった。
「そんなこと言ってたらいつまでたっても結婚出来ないし、ひーちゃんがおばあちゃんになっちゃうよ?
人はね、歳を取るのよー」
カナコはしみじみとした感じで言った。陽はは反論した。
「カナコさん?
あなたどう見ても年下じゃん!?」
「わたし?33歳だけど?
あ、わたしのことはかなぶんって呼んで」
「33歳!?
見えねーっ!!っていうか、オレと同い年」
「わー、かなぶんって呼び方、なんかかわいい。わたしもかなぶんって呼んでいい?」
「もちろんよ、ひーちゃん」
広末さんはそのやり取りを楽しそうに見つめていた。
「じゃあさ…」
カナコは話を続けた。
(よく喋るなぁ)
陽は呆れるのを通り越して感心していた。
「今、この場で婚約しちゃえば?」
「え?」
「え?」
陽と聖の声が重なった。
「なんでそうなるんだっ?!」
陽がそう言った時だった。店内に大きな声が響き渡った。
「その婚約、ちょっと待ったーーーっっっ!!!」