古事記スクール

日本人のOS古事記を全ての日本人に!! 小説、イラスト…カジュアルに古事記を広めます!講座や資料提供のご相談などお気軽にご連絡ください!!

【新古事記184】アイデンティティ

陽はそう答えながら、ノブナガがまた大声を出すだろうと思った。


(「日本人なのにそんなことも答えられんとは!!」って言われるんだろうなぁ…)


しかし、陽の予想とは裏腹にノブナガは穏やかに話し続けた。


「ふむ。


おそらく…多くの日本人がもやしと同じように答えられないのではないか…とオレは思っている」


さらにノブナガは続けた。


「アイデンティティとは…


「自分は何者である!」


ということだな?」


「はい。そう思います」


「お前は何のために留学したのだ?」


「はぁ…


なんとなく…です。


海外への憧れもあったし、日本から出たら何か得られるんじゃないかって…そんな風に思っていました。


それに、英語も好きだったし」


「お前に「日本ってどんな国なんだ?」と聞いた外国人も同じ思いだったかもしれないぞ?」


「は?」


「ワクワクしながら「日本ってどんな国なんだ?」と聞いたら、相手の日本人は「わからない」と言う。


さぞかしガッカリしただろうな」


「う…」


「お前は何かを求めて留学したが、手土産も持たずに海を渡ったわけだ。


「何かください!!僕に何かください。


僕はあなたになにもしてあげられませんけど、僕に何かください」


無粋なことだな」


陽は黙り込んだ。


「留学もいいが、その前にすることがあるだろう。


オレは今の若者がどんな気持ちで海外に足を運んでいるのか…とても憂慮している。


もやしよ、別にお前を責めているわけではないぞ。


そもそも日本人はグラデーションの中で生きているから「自分は何者であるか」なんて考えるのが苦手なのかもしれない。


そして、それが日本人の良さでもあるのだからな」


「グラデーション?」


陽はノブナガの言っていることがわからなかった。


「もやし、出身はどこだ?」


「え、横浜ですけど」


「え!!横浜なの?


オシャレ〜〜」


カナコが言った。


「街の灯りが


とても綺麗ね


ヨコハマ〜〜


ブルーライトヨコハマ〜〜🎶」


「かなぶん、歌上手ね〜〜」


聖がカナコに言った。


「そりゃそうよ〜〜


私、SFBのヴォーカルだもん!!


ベースも弾くのよ」


カナコが得意げに言うと、聖が聞いた。


「でも…


その歌、なに?

 

それ、横浜駅の発着メロディーよね?京急線の?


あのメロディーって元歌があったの?

 

ひーちゃん、今びっくりしてます」


「え〜〜〜〜っ!!


知らないの〜〜〜〜っ!!!?」


ひーちゃん、出身は?」


「ヨ・コ・ハ・マ」


「え〜〜っ!!」


カナコが二度びっくりした。