「なんだか知らないけど、私の運勢を見て欲しいだの、使命を教えてくれだの、自分が何者か教えて欲しいだの…そんなくだらない電話がたくさんかかってきてね。
鬱陶しいから電話線を抜いたんだ」
「ほう?なぜ急に…」
「それがわからないんだよ。
たしかにオレはね、色々観えたり聴こえたり…するんだよ。
だからってさ、見ず知らずのヤツにアドバイスなんか求めるなっていう話だよ」
「その通り。オレはあんたの話など信じぬ!!カーッカッカッカッ!!」
「オレはね、大切な人生を人に預けちゃうようなヤツらより、アンタみたいなアホのほうが好きだよ。
それに、軸のないヤツがどんなアドバイスをもらったってうまくなんかいくもんか。
なんのための人生だ?そんなに失敗が怖いのかね?
そもそも知らない人を信じちゃいけないって子供の時に習っただろうに」
「本当にな。今の日本人は骨抜きばかりだ。
使命なんて探すもんじゃない。己で決めるものだ!!」
するとオーナーはノブナガの顔をじーっと見つめた。
「ところで…近いうちにアンタに「スサノオの難」が降りかかるよ」
「スサノオの難?なんじゃそりゃ。
さっきも言ったが、オレはお前の言うことなど信じぬ」
「ふーん、まぁ、いいけど」
ノブナガは店を出てトイレに向かった。その時のことだ。
グニュ
「うお!なんだこの気持ちの悪い感触は?」
ノブナガは恐る恐る足元を見た。
「こ、これは…
ま、まさか…
犬の…
ク、クソではないかっ!!」
その時、ノブナガの頭に「スサノオの難」というオーナーの言葉が蘇った。
「スサノオと言えば、神聖な神殿にクソを撒くという…そんな罪を犯したことがあったな…
アイツの言った「スサノオの難」とはもしやこれのことでは…」
ノブナガは頭を振った。
「いや、今はそれどころではない!
早くクソを洗い流さなくては…このザマではとても聖ちゃんのところへは戻れぬ」
ノブナガは店を離れ、水道を探す旅に出た。