「あらー、あなたたち!!」
席を立ち上がったらカナコの視線の先には、龍橋神社で会った2人の姿があった。
(げ、またあいつらか…女の子の方はともかく、あの大男がなぁ…)
陽は店を出たくなった。
広末さんが言った。
「知り合い?」
「ええ、さっき龍橋神社でお会いしたんです。ねね、こっち座ってください。ご一緒しましょう」
カナコは言うが早いかすぐにテーブルを動かしレイアウトを変え、2人の座席を用意した。
「いいんですかー、じゃ遠慮なく。
ヨウもほらほら、座って」
陽はしぶしぶテーブルに向かった。
「お二人さん、ご注文は?」
オーナーが聞いてきた。陽はメニューを見ずに答えた。
「あ、生ビールを2つお願いします」
2人が席に着くと自己紹介が始まった。
「私はカナコ。こちらが京都の広末さん。とても素敵な人よ」
「へー、京都!!」
カナコは続けた。
で、こっちの汚らしいのがお兄ちゃん」
「え?」
「おおお、お兄ちゃん!!?
お二人は兄妹だったんですね!!!
いやー、もしかしたら恋人同士かなー、なんて」
大男が聖の言葉に反応した。
「オレがこんなちんちくりんと付き合うわけなかろう!!
オレはこうもっとなんというか…
そう、あなたのような…」
大男は流し目で聖を見つめて言った。
バシッ!!
「ぶっ」
カナコの右ストレートが大男の左頬を捉えた。
「おい!カナコ、今のは痛かったぞ!!」
広末さんが言った。
「僕、下の名前『龍二』って言うんだよ。辰年生まれだからね。龍橋神社が繋いでくれたのかも知れないね」
「広末さん、よろしくお願いします」
「よ、よ、よろしくお願いします」
聖は嬉しそうに言った。陽は伏し目がちに言った。
トントン
「ヨウ…」
聖は肘で陽の脇腹をつついた。陽は仕方ないという顔で口を開いた。
「ぼ、僕は浅間陽です。隣にいるのが聖…」
カナコが言った。
「ヒナタくん?さっきヨウって呼んでなかった?」
「太陽の陽でヒナタなんです。だから、仲の良い友達はみんなヨウって呼んでるんですよ。もちろん私も」
「へー。であなたが聖ちゃんね。いいお名前」
「そうですかー。
うーん、嫌いじゃないけど…
なんていうか、西洋っぽいというか。私、顔薄いし、まるっきり日本人な顔だからなー」
「そんなことはないよ」
広末さんが言った。