巫女さんの話がひと段落すると、陽は聖に言った。
「聖、お守りどれがいい?1つ買ってあげる」
聖は人差し指を立て、左右に振った。
「お守りはね、買うのではなくて授かるものなんだよ。ね?お姉さん?」
巫女さんはニコリと笑った。
「あ、でもありがとう。それじゃ遠慮なく…
そうねぇ、、、
やっぱりこれかな」
聖は「四魂守り」の「幸魂」を選んだ。
巫女さんからお守りを受け取ると、聖は言った。
「ヨウ、お返しにアレをプレゼントするよ。うん、ヨウにぴったりだよ。
お姉さん、それください」
聖が指差したのは、『昇り龍と降り龍が描かれている手ぬぐい』だった。
「え?いいよ、オレは。
しかも、お守りより高いし…」
「まぁまぁいいじゃない。絶対似合うって。
それに、未来の旦那様には龍のような人になって欲しいですからねー
なんてねー」
聖は嬉しそうだった。
陽は呟いた。
「オレ、そんな自信ないんだけど…」
「大丈夫、大丈夫。わたしが信じてるんだから。
それにね、私、普通でいいんだよ。普通で充分だから」
陽はとっさに言った。
「あ、じゃあさ、お守りもう1つ買おう…じゃなかった、授かろう?ん?いただこう???
奈帆ちゃんの分。そしたら聖も嬉しいだろ?」
聖は何度も首を縦に振った。
「うんうんうんうん!!
さすがヨウ、ナイスアイディア!!
なほほん、喜ぶよ。ありがとう!!!」
陽と聖はお守りと手ぬぐいを受け取ると、巫女さんにお礼を言って、神社を後にした。
10時30分
「これからどうする?まだ10時半だぞ」
「じゃあ商店街をぶらぶらしようよ」
「よし!!面白いんだよな、ここの商店街!!」
「あれ?ヨウ…神社の時と全然反応違うんですけど…」
「いや…そんなことないって!!
あの巫女さんの話、結構面白かったし、カッコいい手ぬぐいも手に入ったしさ」
聖は頷いて言った。
「うむ、よろしい。じゃ、行こ」
2人はアンダーグラウンドな雰囲気の商店街を散策した。雑貨屋や古着屋などが立ち並ぶ、独特の魅力がある街だった。