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【新古事記049】双龍の手ぬぐい

巫女さんの話がひと段落すると、陽は聖に言った。


「聖、お守りどれがいい?1つ買ってあげる」


聖は人差し指を立て、左右に振った。


「お守りはね、買うのではなくて授かるものなんだよ。ね?お姉さん?」


巫女さんはニコリと笑った。


「あ、でもありがとう。それじゃ遠慮なく…

 

そうねぇ、、、


やっぱりこれかな」


聖は「四魂守り」の「幸魂」を選んだ。


巫女さんからお守りを受け取ると、聖は言った。


「ヨウ、お返しにアレをプレゼントするよ。うん、ヨウにぴったりだよ。


お姉さん、それください」


聖が指差したのは、『昇り龍と降り龍が描かれている手ぬぐい』だった。


「え?いいよ、オレは。


しかも、お守りより高いし…」


「まぁまぁいいじゃない。絶対似合うって。


それに、未来の旦那様には龍のような人になって欲しいですからねー

 

なんてねー」


聖は嬉しそうだった。


陽は呟いた。


「オレ、そんな自信ないんだけど…」


「大丈夫、大丈夫。わたしが信じてるんだから。


それにね、私、普通でいいんだよ。普通で充分だから」


陽はとっさに言った。


「あ、じゃあさ、お守りもう1つ買おう…じゃなかった、授かろう?ん?いただこう???


奈帆ちゃんの分。そしたら聖も嬉しいだろ?」


聖は何度も首を縦に振った。


「うんうんうんうん!!


さすがヨウ、ナイスアイディア!!

 

なほほん、喜ぶよ。ありがとう!!!」


陽と聖はお守りと手ぬぐいを受け取ると、巫女さんにお礼を言って、神社を後にした。


10時30分


「これからどうする?まだ10時半だぞ」


「じゃあ商店街をぶらぶらしようよ」


「よし!!面白いんだよな、ここの商店街!!」


「あれ?ヨウ…神社の時と全然反応違うんですけど…」


「いや…そんなことないって!!


あの巫女さんの話、結構面白かったし、カッコいい手ぬぐいも手に入ったしさ」


聖は頷いて言った。


「うむ、よろしい。じゃ、行こ」

 

2人はアンダーグラウンドな雰囲気の商店街を散策した。雑貨屋や古着屋などが立ち並ぶ、独特の魅力がある街だった。