「誰が下僕よ!?」
カナコが言うとノブナガが答えた。
「決まっておろうが!
お前ともやしだ。
さあオレ様について来い!!
カーッカッカッカッカカッ!!」
カナコは不満そうな顔をしつつ、ノブナガの後を追った。陽と聖はさらにその後を追った。
ノブナガとカナコは並んで拝殿の前に立った。陽には背筋が伸びたその後ろ姿がとても美しく見えた。
「ノブナガさんもかなぶんも…
神様をとっても大切に思っているんだね」
横にいる聖がポツリと呟いた。
「ヨウくん、ひーちゃん、おまたせ!!」
ノブナガとカナコがお参りを終えると、陽と聖は並んで社殿に向けて歩み出た。
聖は500円玉を賽銭箱に放り込み、すず紐を振った。
シャラン、シャラン
そして聖は陽の方を見た。2人で合わせて深く頭を下げる。
「せ〜の」
パンッ!
パンッ!
陽は聖の声に合わせて柏手を打った。
手を合わせ目を閉じると陽は何かと繋がるのを感じた。そしてすぐに上半身が時計回りにゆっくりと揺れ出した。
(なんだ?これ?)
一瞬、戸惑ったがすぐに考えることが面倒くさくなり、陽は考えるのをやめた。
(なんて気持ちいいんだろう…)
陽の全身を心地よい何かが包み込んでいるようだった。
もっと長くこの感覚を味わっていたいと思ったが、陽は意識的に現実の世界に戻ることにした。
(これからラーメン食べに行かなきゃ)
パッと目を開け、ゆっくりと右に首を振った。
「ヨウ、大丈夫?」
聖が心配そうに陽の顔を覗き込んでいた。
「う、うん…大丈夫だよ」
陽は正面に向き直り、深々と頭を下げた。
少し遅れて聖も頭を下げた。