【新古事記195】秘伝のスープ?
「うわー!!おいしそー!!
これが岡山ラーメンかー!!」
聖が手を組んで嬉しそうに言った。
「岡山じゃなくて、和歌山よ、ひーちゃん…」
カナコが少し悔しそうに言った。
ノブナガはどんぶりに鼻を近づけ匂いを嗅いでいた。
「クンクン…
うーむ、香りは悪くないな」
「いただきまーす!!」
聖は胸の前で手を合わせるとレンゲで豚骨醤油ペースのスープをすくった。
「おいしいっ!!」
聖の声を合図にカナコと陽が続いた。
「うん、おいしいっ!!」
「うん、うまい!!」
カナコは店員の女性に言った。
「お姉さんっ!!
おいしいですっ!!」
「そやろ〜〜」
女性は得意げに言った。
「岡山ラーメンって醤油豚骨なんですね。
横浜の家系も醤油豚骨だけど家系よりあっさりしてますね」
「ヨウくん…
和歌山だってば…
ワザと言ってるじゃろ?」
「あ、すみません。
ま、正直なところ、和歌山も岡山も似たようなもんですよ、こっちの人間からしたら。
スウェーデンとノルウェーみたいな?」
「ちょっと、ヨウくん???」
カナコの目は少しつり上がっていた。
「和歌山ラーメンやない
中華やっ!!」
「ちゅうか?」
カナコが聞いた。
「そーやよ
和歌山ラーメンのこと、地元の人間は中華って言うんやよ」
「へーーー」
「クンクン…
うーむ、大丈夫だろうか?」
「え!?
ノブナガさん、まだ食べてなかったんですか?」
「もやし、お前にはわかるまい…
前回来た時は…
まるで使い古されたスリッパで出汁を取ったようなスープだったからな…
脳内であの味が再生されていまい、怖いもの知らずのオレ様でもさすがに躊躇してしまうのだ」
「え?スリッパ???」
陽と聖が固まった。
「ちょっと!!お兄ちゃん!!
店員の女性が声を出して笑った。
「スリッパて!!
イケメンのお兄さん、おもしゃいの〜〜」
「ちょっとお兄ちゃん!人が食べてるのに変なこと言わないでよっ!!
いいから早く食べなさいよっ!!」
「そう慌てるな」
ノブナガはそういうとテーブルの上に手を伸ばした。