「そ、それって私でも出来るようになりますか?」
聖が身を乗り出して巫女さんに聞いた。
巫女さんは優しく微笑んだ。
「どうでしょうね?
聖さんはとてもセンスがあるように私には見えますが…」
「え?ホントですか!?」
それを聞いた聖はニンマリした。
「今、聖さんは…恋愛で言うなら神様に恋をしている段階だと思うんです。
まずは神棚をお祀りして、少しずつ関係性を深めていってみてはいかがですか?
何も私みたいにならなきゃいけないわけではないのですから。
その先のことは…おいおい自然と道が開かれるように思います」
聖は言った。
「神様に恋してる…
私、ちょっと浮かれちゃってますし、まさにそんな感じがします」
巫女さんは言った。
「例えば「サッカーが好き」と言っても、プレーするのが好きだったり、観戦するのが好きだったり、選手のプレーや生き方が好きだったり…
色々ありますよね?
何もプロの選手になることだけが最終目標ではありません。
監督やコーチ、トレーナーはもちろん、ショップの店員…サッカーに関わる方法はたくさんありますよね?」
巫女さんからサッカーの話が出たので、陽は昔を思い出し、心が痛むような気持ちになった。
「なるほどなー」
カナコが感心して言った。巫女さんは続けた。
「話が逸れちゃいましたね。
聖さん、他にも聞きたいことはありますか?」
聖は言った。
「あの〜〜、お水とかお塩とか…
神様にお供えするときのコップやお皿はどうすればいいですか?」
「ああ、神具のことですね。
神仏具店やインターネットで揃えてもいいですが、私は100均のもので構わないと思います。
とにかく難しく考えすぎず、形式にこだわりすぎず、簡単に始めてみてください。
日本の神様は細かいことは言いませんから。神様に気持ちを向けたら、それだけで喜ばれますから。
あ、お榊はお花やさんやスーパーでも手に入りますよ」
聖は何度も頷きながら、巫女さんの話を聞いていた。