陽は生姜焼き定食を食べながら言った。
「で、聖?
明日はかなぶんに会いに行くんだよな?
場所は?」
「うん、私、前に見たラーメンをどうしても食べたくて」
「ああ、あの…
極道ラーメンだっけ?」
「ちがうよっ
ご・く・うラーメンっ!!
「極める空」と書いてごくう。
ちょっと遠いけど、いいかな?」
「もちろん、オレが反対するわけないだろ?」
「ありがとう、ヨウ。
でもね…」
「うん?」
「かなぶんが言うには、最近、味が落ちたらしいの。あ、これはノブナガさんが言ってるらしいんだけど」
「えー、そうなの???
ま、いいんじゃないの。そんなに期待しないでいけばさ。
っていうか、今日はラーメンじゃなく生姜焼きにしといて良かったよ。
で、待ち合わせは決めたの?」
「うん、待ち合わせは龍橋神社にしたの。
せっかくだからお参りしたくて。あのお姉さんにも会いたいしね。
あ、時間は10時よ」
「そっかー、わかった。
そしたら8時半前には出ないとな〜〜
あの…お兄さんも来るのかな。
オレ、ちょっと苦手なんだよなー」
「ノブナガさん?
来るんじゃない?たぶん。
あの人、きっといい人よ」
そういうと聖は楽しそうに笑った。
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「ふんふんふ〜〜🎶」
「お兄ちゃん、鼻歌歌って何やってんの?」
「見りゃわかるだろ?
アイロンがけをして精神を養っているのだ!
サムライたるもの常に修行だからなっ!!」
「修行?その割にはご機嫌じゃないの?
え?何この服?
もしかして明日着て行く気?
やめてよ、一緒に歩くわたしが恥ずかしいじゃない!!」
「恥ずかしい?
オレの勝負服だぞ!!
恥ずかしいことなどあるものか!!」
「勝負服?
なんの勝負よ?」
「…う、そ、それは〜〜」
「あーーー
お兄ちゃん、ひーちゃんが来るから気合い入れてるんでしょ?
キモっ!!
この40歳!!キモっ!!」
「カナコッ!!
実の兄に向かってなんだその口の利き方はっ!!!」
「わたし、もう寝るから。
おやすみっ」
「ええい!!なんたる妹だ!!
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待ってろよ、聖ちゃん。オレがもやし男の魔の手から救ってあげるからね」