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【新古事記199】ヤタガラス

「野木君、たしかに昔は手のつけられないワルやったけどな〜


ドクにも入ってたしなぁ」


「どく?」


「ドク知らんの?


暴走ドクって、今の若い子はしらへんのかな?」


陽が言った。


「ああ、暴走族のことですか。


よくは知らないですけど、マンガなんかで見たことはありますよ」


「真子さん、ザ行が苦手なんですね…」


聖が哀れむ目で真子さんを見て言った。


「へ?ダ行が苦手?


私の発音、なにかおかしいん?


でんでんわからん」


真子さんは不思議そうに言った。


「お兄ちゃんも入ってたよね?


暴走族…」


カナコがノブナガに聞いた。


「ん?オレは付き合い程度に顔を出していだだけで…若気の至りってヤツだな」


真子さんが言った。


「へー、お兄ちゃん岡山なんやろ?


あの辺りやったらかなり気合入ってたんちゃうの?


「いやぁ、もうオレの時代は下火でしたよ…


結局、女にモテなきゃやらないんですよ、男は。


昔は不良がモテましたからね」


「ふーん、お兄ちゃん、モテ目的で暴走族に出入りしてたんだ…


ん?お兄ちゃんの入ってた暴走族の名前なんだっけ?」


「だから入ってないわ!!


チーム名は「喜美弾醐」だったな」


「ぷーっ!!


きびだんごっ、ダサっ、お兄ちゃんのチーム、ダサっ!!」


「みんな後醍醐天皇の「醐」の字が書けなくてなー…


って…オレのチームじゃないと言っとるだろうがっ!!」


聖が真子さんに聞いた。


「野木さんが入っていたクラスの名前はなんていうんですか?」


「ひーちゃん、クラスじゃないから…」


「お姉さん、かえらしの〜〜


野木君の入ってたドクの名前は…


たしか「八咫烏」やったな」


「ヤタガラス!!


カッケーーー!!


野木さん、カッケーーー!!!」


喜美弾醐とは大違いだわっ!!」


カナコが目を輝かせた。


「ヤタガラスってサッカーの?


日本代表のエンブレムのですか?」


陽が言うと、カナコが答えた。


「そうじゃが!


神武天皇を熊野から大和へ導いたのがヤタガラスじゃよ、ヨウくん」