「野木君、たしかに昔は手のつけられないワルやったけどな〜
ドクにも入ってたしなぁ」
「どく?」
「ドク知らんの?
暴走ドクって、今の若い子はしらへんのかな?」
陽が言った。
「ああ、暴走族のことですか。
よくは知らないですけど、マンガなんかで見たことはありますよ」
「真子さん、ザ行が苦手なんですね…」
聖が哀れむ目で真子さんを見て言った。
「へ?ダ行が苦手?
私の発音、なにかおかしいん?
でんでんわからん」
真子さんは不思議そうに言った。
「お兄ちゃんも入ってたよね?
暴走族…」
カナコがノブナガに聞いた。
「ん?オレは付き合い程度に顔を出していだだけで…若気の至りってヤツだな」
真子さんが言った。
「へー、お兄ちゃん岡山なんやろ?
あの辺りやったらかなり気合入ってたんちゃうの?
「いやぁ、もうオレの時代は下火でしたよ…
結局、女にモテなきゃやらないんですよ、男は。
昔は不良がモテましたからね」
「ふーん、お兄ちゃん、モテ目的で暴走族に出入りしてたんだ…
ん?お兄ちゃんの入ってた暴走族の名前なんだっけ?」
「だから入ってないわ!!
チーム名は「喜美弾醐」だったな」
「ぷーっ!!
きびだんごっ、ダサっ、お兄ちゃんのチーム、ダサっ!!」
「みんな後醍醐天皇の「醐」の字が書けなくてなー…
って…オレのチームじゃないと言っとるだろうがっ!!」
聖が真子さんに聞いた。
「野木さんが入っていたクラスの名前はなんていうんですか?」
「ひーちゃん、クラスじゃないから…」
「お姉さん、かえらしの〜〜
野木君の入ってたドクの名前は…
たしか「八咫烏」やったな」
「ヤタガラス!!
カッケーーー!!
野木さん、カッケーーー!!!」
喜美弾醐とは大違いだわっ!!」
カナコが目を輝かせた。
「ヤタガラスってサッカーの?
日本代表のエンブレムのですか?」
陽が言うと、カナコが答えた。
「そうじゃが!
神武天皇を熊野から大和へ導いたのがヤタガラスじゃよ、ヨウくん」