失敗続きのイザナギとイザナミだったが、宇宙の神様のアドバイス通り「男性であるイザナギから先に声をかける」と事態は好転した。
まずイザナミは日本の国土となる島々を産んだ。これを「国産み」というらしい。
「ははっ
島を産んじゃうなんて…
ちょっと想像できないな。
ふーん…四国は4つの顔がある神様なのか」
陽は島が神様という発想に驚いた。そんなことを考えたこともなかった。
「あっ、そういえば…
広末さんが高杉晋作の話をしていたな。
確か長州藩が下関の戦争で外国勢に負けて、領土を差し出すように要求されたけどゴネ通したって話だったな」
その時、高杉晋作がそらんじたのが古事記だと広末さんは言っていた。島々が神様だとしたら…
「神である島を渡すわけにはいかない」
陽は高杉晋作のそんな気持ちが少しだけわかるような気がした。
「まぁ、オレにはそんな根性はないけど。
争うくらいなら渡しちゃった方がいいかな。
そうすれば平和なんだからさ。
もしかしたら、神様もその方が喜ぶんじゃないかな?」
「国産み」を終えたイザナギとイザナミは、次に「神産み」をおこなった。
石や土や砂…
門や屋根や建物…
そして風。
海や川、泡や水面。
木に山に野原。
「うーん、この神様の多さはどうしたもんかな…」
あまりの多さに陽は神様の名前を覚えるのは諦めた。そして、とりあえず先を読み進めることにした。
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そして事件が起きた。
火の神を生んだ際、イザナミは大火傷を負ってしまったのだ。
「えっ、なにこの展開?
どんだけ親不孝者なんだよ、コイツ」