聖が結婚の話に触れたので陽はドキッとした。そして覚悟を決めた。
「あのさぁ…聖ぃ…」
その時だった。
「あーーー!!」
聖は大声を出した。
「どした?」
「なほほんからメッセージ来てないかな?
もう古事記のお話会、終わってるでしょ?」
聖はスマホを確認した。
「おおぅ」
聖は変な声を出した。そして、ニヤニヤしながら画面を眺めていた。
「なんだよ、そのニヤニヤは。
俺にも見せて」
陽は身を乗り出して画面を見て覗き込んだ。
「おお!我孫子南さんとのツーショット!!
あ、赤ちゃん抱っこしてるからスリーショットか。
奈帆ちゃん、やるなー」
「さすが我が大親友!
真実はいつも一つ!!」
そこには赤ちゃんを抱っこするなほほんと蝶ネクタイをつけたスーツ姿のファシリテーター我孫子南さんの姿が映っていた。
「はいっ!ヨウ、離れて離れて。
今からなほほんのメッセージを読みます」
聖はメッセージを読みだした。
「『親愛なる聖。
かわいすぎる、聖。
いつまでもピチピチの聖。
永遠の18歳、聖。
日本の宝、聖、お元気ですか?
そしてさらに…』」
「…聖、それ盛ってるだろ?」
「あ、バレましたか。よくわかりましたね。
では続けます。
『我孫子南さんのお話会に参加してきたよ。本当に本当に素晴らしい会でした。
古事記ってなんとなく難しく、そして古臭く、おじいさんが興味を持つようなものかと思っていました。
こなんさん(←我孫子南さんのニックネーム)のお話は面白すぎて素晴らしすぎて、笑って泣いてのあっという間の2時間でした。
聖もこなんさんの会に参加するかもしれないから(いや、絶対参加すべき)詳しいことは今日は書きません。というか、今はまだ書けないというのが正直なところかな。
あのね、わたし…日本人であること、日本に生まれたことがこんなに素晴らしいことだったなんて今まで全然知らなかったよ。
こんなにも恩恵を受けていたなんて。
こなんさんのお話は、全ての日本人が聞くべきだと思ったよ。私、スピリチュアルも好きだけど、学んで知ることの大切さを痛感しました。
古事記ってすごいよ。なんでこんなに素晴らしいことを学校で教えないんだろう?わたし、もっと早く教えてもらいたかったな。
聖、このタイミングで素晴らしいご縁を繋いでくれてありがとう。
私、日本の素晴らしさを伝えられるお母さんになりたいと思います。
また連絡するね。
聖の大親友なほほんより』