~これまでのお話~
中つ国(なかつくに:地上世界)で八十神(ヤソガミ:オオナムヂの兄達)との戦いを制したオオナムヂはオオクニヌシと改名し国造りをスタートしました。モテモテのオオクニヌシは、領土を広げるたびにその土地の美しい女神と婚姻関係を結びました。一方、正妻のスセリビメはオオクニヌシが国造りと称して家を空けてばかりいたので、寂しい思いをしていました。大和(現在の奈良県)へ向かおうとするオオナムヂは、寂しそうに見つめるスセリビメに歌を送りました。
スセリビメを置いて大和へ出かけようとしていたオオクニヌシは、
「自分は自宅に籠ってのんびりしているような性格ではないんだよ。派手な衣装を着て、元気に躍動していたいんだよ。だって王なんだよ。でも、奥さん、あなたは寂しいだろうね・・・」
ということを歌を通してスセリビメに伝えました。
スセリビメはお返しの歌を送りました。
八千矛の神よ(やちほこのかみ:オオクニヌシのこと)♪
ああ、私のオオクニヌシよ♪
あなたは男の中の男です♪
領土を広げる旅の先々で♪
若草のような新しい妻をどんどん娶るのでしょう♪
でも私は女なので♪
あなた以外に夫はいないのです♪
ふわふわの気持ち良いお布団の中で♪
私の柔らかい雪のような胸や♪
色白でか細い腕を♪
撫でたりさすったりしてください♪
私の腕を枕にして♪
ゆっくりお休みしてください♪
さあこのお酒で乾杯しましょうよ♪
オオクニヌシはこの歌にグラリと心が揺らぎました。
そして
「ああ、やっぱりオレの奥さんは良い奥さんだな~」
と惚れ直しました。
そして、大和へ出かけるのはとりやめて、スセリビメとのんびりすごすことにしました。チャンチャン。
よう