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【新古事記106】子供の鏡

15時45分


スマホのアラームが鳴った。


「もう時間か…」


航はベッドから身体を起こし、少しの間ぼーっとしていた。そして諦めたように立ち上がると、歯を磨き服を着替えた。


洗濯機から洗い物を取り出し、室内に干す。


16時05分


航は娘を迎えに行くため、自転車に乗り小学校に向かった。


航夫婦は共働きのため、娘は放課後を学童保育に預けていた。


保育園の時もそうだったが、娘を預けることに多少の罪悪感があった。もし両親が共働きでなければ、自分の収入が充分であれば娘を施設に預ける必要はない。


しかし、本人は今のところ楽しく過ごしているし、昔ある看護師さんにこんなことを言われたことがあった。


『親は子供の鏡になれないのよ。子供の鏡になれるのは兄弟なの』


だから、もしかしたら、一人っ子の娘にとって学童保育は良い環境なのかもしれない。

学校に着くと、首に保護者証を下げ校内に入る。階段を登り2階にある学童保育の入り口に着くと、インターホンを鳴らし職員に声をかけ、娘が出てくるのを待つ。


そのあと、二人の保護者が迎えにきた。二人とも母親だった。


二人のお母さんが子供を連れて帰っても、航の娘はまだ出てこなかった。


ようやく出てきた娘と手を繋ぎ、職員さんに挨拶をし階段を降りる。娘はのんびりしているところがあったが、航はそれで良いと思っていた。


16時45分


航は帰宅し、出かける準備を済ますと娘に伝えた。


「これからおととはお仕事に行ってくるからね。


ママが帰ってくるまで、もし誰かが来てもドアを開けちゃいけないよ」


娘はうなずいた。航は娘をハグをして頭を撫でると家を出た。