~これまでのお話~
高天原(たかまのはら:天界)で大暴れし、中つ国(なかつくに:地上)に追放されたスサノオ。スサノオは中つ国の出雲でヤマタノオロチを退治し、スーパーヒーローになりました。結婚し、新居も建て、子宝にも恵まれました。ところが、スサノオは家族を置き、根の国(ねのくに:死の世界)に引っ越してしまいましたとさ。
さぁ、時は流れ・・・
スサノオから6代後の子孫に大穴牟遅神(オオナムヂノカミ)が誕生しました。
オオナムヂには80人の兄達がおりました。
(兄達は八十神(やそがみ)と呼ばれています。本当は80人兄弟でなく、たくさんの兄弟ということです。八百屋の「八」と同意ですね)
最近、兄達の間ではある話題で持ちきりでした。
「すっげー美人らしいよ」
「かなりマブいんだってな」
「マジ神、だってさ」
兄達が口々に話しているのは因幡に住む八神比売(ヤガミヒメ)のことでした。
ヤガミヒメの評判は大変なものだったので、兄達は「自分の妻にしたい」という野望をメラメラと心の中で燃やしていました。
「よし!じゃあみんなでヤガミヒメに会いに行こうぜ!!」
「おう、抜け駆けは無しだ!!」
「ふふ、ヤっちゃんはオレを選ぶだろうが恨みっこなしだぜ!!」
「ばーか、オレに決まってるだろ!!」
こうして80人の兄達のプロポーズの旅が始まりました。
(アホか・・・)
「オオナムヂ、お前は荷物持ちだ。同行できるだけでもありがたいと思えよ。」
末っ子のオオナムヂは荷物持ちとして、兄達に同行することになりました。
オオナムヂは不平不満を漏らすことなく、重たい荷物を持ち、歯を食いしばり兄達の後を追いかけました。
よう