~ハイブリッド古事記~コジキノキジ

日本の神話・古事記を中心に神様のことなどをシンプルに書いています。風土紀や地方の伝承などを盛り込んだハイブリッドな古事記です。

タケミナカタ物語⑧

諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしました。ヤサカトメノカミは家出をし湖を渡ってしまいました。タケミナカタは、村人が寝静まるのを待ち、ヤサカトメノカミの元を訪れましたが、会うことが出来ず帰ってきました。

 

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その後もタケミナカタは、毎晩ヤサカトメノカミの元を訪れましたが、屋敷の扉が開くことはありませんでした。

 

タケミナカタは寝不足ですっかりやつれていました。

 

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村人達はタケミナカタの様子をみて心配になりました。

 

タケミナカタ様、大丈夫ですか?」

 

「少し休まれた方が???」

 

「まるで別人のようですが・・・」

 

タケミナカタは強がって答えました。

 

「いや、大丈夫だ!!オレを誰だと思っているのだ!!」

 

タケミナカタは持ち前の体力と精神力で平静を装っていました。

 

「ところで最近、ヤサカトメノカミ様の姿が見えませんね?」

 

「もしかしてご病気ですか?」

 

ド、ドキッ

 

ドキッとしながら、タケミナカタはまた答えました。

 

「い、いや、大丈夫だ。

 

 ちょっと家事洗濯が忙しくてなぁ・・・

 

 それにしても今日は冷えるのう。

 

 みんな、身体を大切にして風邪などひかぬようにな」

そして一日が終わり・・・

 

ホーホー(フクロウの鳴き声的なもの)

 

すっかり夜が更けました。

 

タケミナカタは、今夜もヤサカトメノカミの元へ通います。

 

湖に出て、舟を漕ぎだそうとすると・・・

 

「こ、これは!!」

 

なんと湖は寒さのためカチコチに凍っていました。

 

「くっ、これでは舟が使えぬ!!」

「よしっ!!」

 

少し考えてタケミナカタは何かを決意したようです。

 

 

よう

 

 

タケミナカタ物語⑦

諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしました。ヤサカトメノカミは家出をし湖を渡ってしまいました。タケミナカタは、村人が寝静まるのを待ち、舟を漕ぎ後を追いました。

 

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「よし!着いたぞ!!」

 

対岸に着いたタケミナカタは、休む暇もなくダッシュしてヤサカトメノカミの元へ向かいました。

 

ヤサカトメノカミの別居先に着いたタケミナカタは扉を開けようとしました。

 

ガチーン!!

 

扉は閉ざされていました。

 

「うん、まぁそうだような、夜だし・・・」

 

そこでタケミナカタは屋敷の中にいるヤサカトメノカミに小さな声で語り掛けました。

 

「ヤサカトメノカミよー、オレだ、タケミナカタだ。

 扉を開けてくれー」

 

シーン

 

返事がありません。

 

「ヤサカトメノカミよ~、ここを開けてくれ~」 

 

今度はもう少し大きな声で語り掛けました。

 

シーン

 

しかし、やっぱり返事はありません。

 

「もう寝てるのかなぁ…こんな時間だしな」

 

タケミナカタはもっと大きな声で語り掛けようと思いましたが、寝ているヤサカトメノカミを起こすのは気の毒に思い、それ以上の声を出すことはしませんでした。

 

「俺は待つぞ、いつまでも・・・」

 

しかし、待てど暮らせどヤサカトメノカミは出てきませんでした。

 

やがて東の空が白んできました。

 

「う、これはいかん!!

 夜が明けてしまう!!

 急いで帰らなければ!!村人達が起きてしまう!!」

 

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タケミナカタは舟を漕ぎ、急いで湖を渡り自分の屋敷へ帰ったのでした。

 

 

よう

タケミナカタ物語⑥

諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。タケミナカタはヤサカトメノカミが湖を渡り家を出てしまったことを知り、すぐに後を追いかけようと思いましたが、村人の目が気になり出来ませんでした。

 

 

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「ふぅ、長い一日だった・・・」

 

日が沈み、屋敷に戻ったタケミナカタは息をつきました。

 

ヤサカトメノカミのいない屋敷の中は寂しい限りです。

 

タケミナカタは居ても立ってもいられない気持ちでしたが、じっと時が過ぎるのを待ちました。

 

ホーホー(フクロウの鳴き声的なもの)

 

「そろそろ良いだろう」

 

タケミナカタは村人たちが寝静まったころ合いを見図り、屋敷をそっと出ました。

 

誰にも気づかれないよう、抜き足差し足で湖へ向かいます。

 

「むぅ、夜は冷えるのう・・・」

 

タケミナカタは湖に出ると、一艘の小舟に乗り込みました。

 

「よし、行くぞ!!」

 

タケミナカタは対岸を目指し、船を漕ぎ始めました。

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よう

タケミナカタ物語⑤

 ~これまでのお話~

 

諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。タケミナカタは村人の話から、ヤサカトメノカミが湖を渡り家を出てしまったことを知りました。

 

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ヤサカトメノカミが家を出たことを知ったタケミナカタは、すぐに後を追いかけようとしました。

 

すると、、、

 

「おお、こりゃ大漁だな!!」

 

「見ろ、この立派な魚を!!」

 

漁をしている村人の声が聞こえてきました。

 

(うっ、まずい。

 

 今、ヤサカトメノカミを追いかけたら・・・

 

 『妻の尻に敷かれている神』

 

 というレッテルを貼られてしまうかもしれん!!)

 

村人たちはタケミナカタの姿に気づきました。

 

「あれ?タケミナカタ様でねぇか??」

 

タケミナカタ様、そんなとこで何をやってるだ?」

 

タケミナカタは咄嗟に答えました。

 

「あ、ああ、ちょっと考え事をしていたのだ。

 

 それより大漁のようだのう。大したものだ!!

 

 そうだ、オレにも網を打たせて(投げさせて)もらえないか?」

 

(何かしていないと居ても立ってもいられない・・・)

 

村人は喜んで答えました。

 

「おおい!!

 

 タケミナカタ様が網を打つぞ」

 

人気者のタケミナカタが網を投げるということで、たくさんの村人が集まってきました。

 

タケミナカタは精神を集中していました。

 

(集中しろ!!大丈夫だ、今は網を投げることに集中するのだ

 

 妻のことは後で考えるのだ。大丈夫だ、大丈夫だ)

 

「いくぞ!!

 

 うぉぉぉぉぉ!!!」

 

ブ―――ン!!!

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タケミナカタの放った網はすごい勢いで飛んで行きました。

 

「タ、タケミナカタ様っ!!」

 

「これは大変なことだっ!!」

 

驚きの声を上げる村人たちを前に、タケミナカタは冷静に答えました。

 

「フフ、これくらい朝飯前ってもんだ」

 

村人は続け撒した。

 

タケミナカタ様!!手綱を放しちゃダメでねえか!!」

 

「網が湖に飛んで行ってしまっただ!!」

 

タケミナカタはハッとして言いました。

 

「しし、しまったー!!」

 

つづく

 

よう

タケミナカタ物語④

~これまでのお話~

 

諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。ヤサカトメノカミは家出をし、別居するため湖を渡りました。

 

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ヤサカトメノカミが湖を渡り終えた頃・・・

 

タケミナカタは一人考えていました。

 

「まずい、このままではまずい・・・

 

 よし!!」

 

タケミナカタはヤサカトメノカミに謝ることにしました。

 

屋敷内をくまなく探しましたが、ヤサカトメノカミは見つかりません。

 

「おかしいな?外で仕事でもしているのかな?」

 

屋敷の外に出ましたが、やっぱりヤサカトメノカミの姿は見えません。

 

タケミナカタはキョロキョロしながら近所を散策することにしました。

 

けれど、やっぱりヤサカトメノカミの姿はありません。

 

やがてタケミナカタは湖のほとりにやってきました。

 

向こうから一艘の小舟がやってきます。

 

村人は小舟を操りながら、挙動不審なタケミナカタに声をかけました。

 

「これはタケミナカタ様。どうかなさいましたが?」

 

タケミナカタは咄嗟に答えました。

 

「い、いや、なんでもないぞ。

 

 皆の暮らしぶりを見て回っているのだ」

 

村人は笑顔で答えました。

 

タケミナカタ様。おかげでこの土地はとても住みやすくなりました。

 

 ほらあそこをご覧ください。

 

 さっきヤサカトメノカミ様が湯をこぼしたところから温泉が湧きだしたとか。

 

 村人があんなに集まって。皆喜んでおります」

 

村人に言われた方に目をやると、確かに人だかりが出来ていました。

 

「なんと、ヤサカトメノカミがそんなことを・・・」

 

驚くタケミナカタに村人は続けました。

 

「はい、さきほど私がヤサカトメノカミ様を湖の向こう岸までお送りしたところです」

 

タケミナカタは驚きましたΣ(・□・;)

 

「み、湖の向こうだって!!!?」

 

今度は村びとが驚きました。

 

「へ、へぇ・・・タケミナカタ様、ご存知なかったので????」

 

タケミナカタは平静を装い言いました。

 

「い、いや、もちろん知っていたとも。

 

 ちょっと使いを頼んだのだ、はっはっは」

 

村人は

 

「そうでしたか。いつも仲が良いようでうらやましい限りです。

 

 では、失礼します」

 

というとその場を去っていきました。

 

タケミナカタは全身から汗が噴き出してきました。

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「まずいことになった・・・

 

 湖の向こうに行ったと・・・

 

 それは・・・

 

 つまり・・・

 

 別居を決意したということだっちゅうのっ!!」

 

 

 

つづく

 

 

よう

タケミナカタ物語③

 諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。

 

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タケミナカタと大喧嘩をしたヤサカトメノカミは、プチ家出をしようと決意しました。

夫婦の住まい(現在の諏訪大社上社)から出て湖を渡り、別居することにしたのです。

 

ヤサカトメノカミはお気に入りの温泉の湯を綿に染みこませ湯玉を作りました。化粧用に持っていくことにしたのです。

 

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途中、ポタポタと湯がしたたり落ちると、そこから温泉が湧きました。これが上諏訪温泉になりました。

 

湖にでると小舟を操る村びとを見つけ、声をかけました。

 

「ちょっとお願いがあるのだけど・・・」

 

村人は答えました。

 

「これはこれはヤサカトメノカミ様。どうかなさいましたか?」

 

ヤサカトメノカミは村人に船で対岸に渡してほしいと頼みました。

 

村人は答えました。

 

「へえ、もちろんです、お安い御用ですよ」

 

対岸につくとヤサカトメノカミは村びとにお礼を言いました。

 

そして別居先(下社)に到着し、湯玉を置くとそこから温泉が沸きだしました。これを綿の湯と言い、下諏訪温泉の始まりです。

 

こうして、ヤサカトメノカミの別居生活がスタートしたのでした。

 

 

つづく

 

よう

タケミナカタ物語②

諏訪に移り住んだタケミナカタは、ヤサカトメノカミを妻に娶り充実した毎日を送っていました。しかし、ある年のこと、うまくいかないことがあり、イライラしていました。そんなタケミナカタにヤサカトメノカミは声をかけました。

 

 

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タケミナカタ様、どうかなさいましたか?」

 

イライラしていたタケミナカタはつい・・・

 

「ええい!!うるさい!!

 

 お前はだまっておれ!!」

 

と語気を荒げてしまいました。

 

それを聞いたヤサカトメノカミはショックを受けました。

 

「え?ひ、ひどいじゃないですかっ!」

 

(し、しまった・・・)

 

タケミナカタはまずいと思いましたが、素直になれませんでした。

 

「オレは一人で考えたいのだっ!!

 

 静かに考えたいのだ!!

 

 ああ!!もうほっといてくれ!!

 

 だいたいお前はだな・・・」

 

ヤサカトメノカミはタケミナカタの言葉を遮りました。

 

「なんでそんなことをおっしゃるんですか!!

 

 私はただ『どうされたのか?』お聞きしただけですよ?」

 

「だから、お前のそういうところがだな・・・」

 

「私のどういうところです?」

 

「なんだと!!どういうってそういうところだ!!」

 

二人は些細なことから大喧嘩をすることになってしまいました。

 

ヤサカトメノカミは目に涙を浮かべながら、その場をそそくさと後にしました。

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「あ、う、ぐ・・・

 

 い、いかん。。。

 

 これは本当にまずいことになった・・・」

 

一人残されたタケミナカタは、呆然とその場に立ち尽くしていました。

 

 

つづく

 

 

よう