【#044 鳴り響く(2021年4月20日配信)】
世界にはいろいろな神話があります。いろいろな神話があるんですが…その世界のスタートの仕方は主に3パターンに分かれると言われています。「造る、生む、成る」の3パターンです。
キリスト教は造るですよね。神が世界を創造しました。では、日本はどうでしょうか?「国生み神話」っていう言葉があるくらいなので、生むももちろんあるんですが、一番最初はナルです。
最初にぐちゃぐちゃのカオスな世界があり、気の遠くなるような時間が経過するとドロドロしたものが沈み、モヤモヤが晴れます。すると、天と地に分かれます。これ、誰も手を加えていません。それで、天と地に分かれると、そこから神々が自然発生してきます。勝手に成ったんです。
広大な庭…いつのまにか草が生えてきます。自然発生です。お風呂のカビもそうです。前に古事記では人のことを「青人草」と表現していて「人も草も勝手に生えてきた存在なんですよ」というようなお話をしましたが、これもナルです。人も自然発生です。
さて皆さん、このclubhouseを聞いてくださっている方は、ほぼiPhoneユーザーのはずです。この配信が終わったらiPhoneで「なる」って入力して変換してみてください。どんな漢字に変換されますか?
成功の成るはもちろん、ナマの生る、タメも為る、慣れるもありますし、馴じむという字も出てきます。古代の日本人にとってナルは変わること、化けること、産まれること、実ること…それらをすべて包括していたとも言われます。こういうこと全部ひっくるめてナルなんですね。
なりゆきに任せるっていう言葉がありますが、まさにそのまんまですよね。
さて、さっきiPhoneで文字変換の話をしましたが、もう一つ重要なナルがあります。そうです、鳴るです。鳴り響くのなるです。
古今和歌集の仮名序には「うぐいすも、かえるもみんな歌っている」って書いてあります。ミミズもオケラも、アメンボも…みんな歌っているんです。つまり日本人は自然界の音、すべてを歌として聴いてきたわけです。このセンス、最高です。
ある日、僕は気づきました。自然界の音を歌として聞くことが出来る日本人にとって、神様はありとあらゆるところで鳴り響いている存在なんだ、と。
今上陛下のお名前、ご存知ですか?ご存知ですね?
もし知らない方がいたらiPhoneでしらべてみてください。