「ねー、ひーちゃん、これ見てこれ!!
かわいくない?」
「おー、いいねー
ショッキングピンクがかなぶんに似合いそ〜〜」
「でしょ、でしょ!!」
4人は住宅街を抜け、商店街に辿り着いていた。聖とカナコは面白そうな店を見つけるたびに立ち寄り、2人で盛り上がっていた。
「まったくおなごどもは…
これではいつまでたっても昼飯にありつけないではないかっ!!
オレ様は腹ペコだぞ!!
なあ、もやし!!」
陽は心ここに在らずという感じでノブナガの声が耳に入らない様子だった。
「おい!!
聞いているのか、もやし!!」
陽はノブナガの方を向いた。
「あ、はい…
聖も…女子同士だから楽しそうですねー」
「ふん!女子同士だと?
カナコは性別を間違えて生まれて来たんだろう…
前にオカマが言っていたが…F-1のエンジンを軽自動車に積んでいるようなヤツだからな。
まったく…惜しいことよ。
日本の損失よな」
「ノッブナガさーーーん!!」
聖がノブナガに声をかけた。
「じゃじゃーん!!
これ、似合うでしょー?」
聖は店頭にあった安物のミラーサングラスを試着していた。
「ひっじりちゃーん、きゃわいい〜〜
ミラーサングラスだなんて…
オレ様とお揃いじゃないの〜〜」
するとカナコが横槍を入れた。
「お兄ちゃんはマジでイケてると思ってるでしょ!?
ひーちゃんは冗談でやってるのよ、わかってる?
もう!こっち見ないでよ!!
サングラスに私がクッキリ写ってるじゃないの!!
そんなことより、ひーちゃん、これできる?」
カナコは右手でメガネのツルの後ろ部分を操作し、メガネをカクカクと上下させた。
それを見た聖はケラケラと笑いだした。
「うっはーーー
なにー、その技ー!!
私にも教えてよー」
「いいわよ、簡単よー」
カナコは聖に近づくとメガネカクカクをレクチャーした。
「そうそう、下に押して…はい、離して
それを連続でやるの」
「こう?」
「そうそう、うまいじゃん!!」
聖とカナコは2人並んでメガネをカクカクさせて大笑いした。