【新古事記187】M・O・G
「わぁ〜〜、いい歌ぁ〜〜」
カナコがパチパチと手を叩いた。
「でしょ〜〜」
「うんうん!!
ちょっと音程ずズレてるところもかわいかったよ、ひーちゃん!!」
「えっ?音程ズレてた?
は、はずかしー!!」
聖は両手で顔を覆った。
「うううっ…
うう…
なんて、、、
な、なんて素晴らしい市歌だっ!!」
ノブナガが目頭を押さえていた。
「ノ、ノブナガさん!!
そんな大げさなっ」
聖が驚いて言った。
「私、横浜市歌が大好きだし、この歌を聞いたり歌ったりすると横浜で育って良かったなーって思うんです。
なんていうのかな…誇りを持てるっていうと大げさだけど、そんな感じなんです。
古い歌だから言葉使いが難しいし、実は歌の内容はよくわかってないんですけどねー
メロディもいいでしょ?
されば〜港のぉ〜〜
のところで変調するのも大好き」
ノブナガが聖に聞いた。
「聖ちゃん、横浜市歌って誰が作詞作曲したの?」
「え?
えっと〜〜
誰が作曲したかはわかりませんけど…
作詞したのは森鴎外だって聞いたことがあります」
「な、なんと!!
森鴎外がっ!!
それは意外っ!!」
カナコはノブナガのダジャレに気づかないふりをして言った。
「もりおーがい?
確か教科書に似顔絵が載ってたわよね?
スキンヘッドで横顔のヤツでしょ?
ま、私の教科書の森鴎外はレイヤーカットにデザインパーマみたいな髪型になってたけどね。
落書きしてジュリーっぽくしたのよ、懐かしなぁ〜〜
壁際に寝返りうぅて〜〜🎶
背中で聞いてるぅ〜〜〜〜🎶」
カナコは歌い出した。
「カナコ、うるさい!!
歌うのやめろ、ストップだ!!」
ノブナガはカナコの歌を止めようとしたが、カナコは自分の世界に浸っていた。
「せめて少しはカッコつけさせてくれ〜〜
寝たふりしてる間に〜〜出て行ってくれぇ〜〜🎶
アア〜アアア〜〜アアア〜〜アア〜〜🎶」
「くっ、こうなったカナコを止めるのは至難の業…
仕方ない…
勝手にしやがれっ!!」