「もやし、横浜のどんなところが好きだ?」
ノブナガは陽に質問した。
「横浜の好きなところ?
う〜〜ん…
正直、考えたことないし、あまり好きじゃないですね。
物価も高いし、税金も高い。
僕、実家が横浜なので。
だからそのまま離れず住んでいるだけで…
あ、横浜といっても栄えているのはほんの一部で…僕らが住んでるのは横浜の外れみたいなもんですけどね〜
横浜=都会…みたいに思ってる人が多いかもしれませんが、そんなこと全然なくて…
都会でもなく田舎でもなく…なんか中途半端なんですよね。
僕はどっちかっていうと、田舎暮らしに憧れるし、どうせなら思いっきり田舎の方が性に合ってるんだと思います」
「え〜〜っ!!
横浜育ちなの?ハマっ子じゃん!!
オシャレ〜〜」
カナコが羨望の眼差しで言うと陽がつぶやいた。
「だから違うんだって…」
ノブナガがゆっくりと口を開いた。
「もやし、お前が日本にも横浜にも感謝していないということがわかるか?
日本という国があり、横浜という街があり、お前は生きている。それなのに日本も横浜も好きじゃない。
住まわせてもらっている土地に感謝できないヤツが海外に出て何かを得ようなど…
ヘソで茶が沸くわっ!!!」
ノブナガは怒りを抑えるように言った。陽はなにも言えず黙っていた。
ノブナガがカナコに言った。
「カナコ、お前は岡山のどんなところが好きだ?」
カナコが目を輝かせた。
「そんなのたくさんあるよーーーっ!!
まず…」
「シャラーーーップ!!
カナコ、ストップだ。
お前の「岡山大好きリスト」は多すぎて、聞いていたら日没になってしまう」
ノブナガがカナコを制した。
「ブヒー
お兄ちゃんが言えって言ったのに…」
カナコは不満そうだった。ノブナガは聖に言った。
「聖ちゃん、聖ちゃんが思う横浜の良いところを教えてもらえる?」
ノブナガは陽やカナコの時と違い、優しく聖に聞いた。
「う〜〜ん、そうですねぇ…」
聖は首をかしげ、人差し指をこめかみに当てて考え始めた。