4人は鳥居をくぐると社殿の方に向き直り、深々と頭を下げた。
「んじゃ、お昼を食べに行きますかー」
かなぶんがそう言うと、4人は商店街に向けて歩き出した。
「ノブナガさん、さっきの続きですけど…
なんで古事記が広がると日本が良くなるんですか?」
陽がノブナガに聞いた。
「む?
なんだ、もやし?だいぶ古事記に興味を持っているようだな?」
「いや、それほどでもありませんけど…」
「古事記に興味を持つことは素晴らしいことだ。このノブナガ、もやしを褒めて使わす」
「おお、ノブナガさんがヨウを褒めた」
聖が嬉しそうに言った。ノブナガは続けた。
「まぁ簡単に言うとだな…
神話っていうものには、その民族の成り立ちが描かれているんだ。
つまり、古事記には「日本とはなんたるか?」ということが書かれているわけだな」
「はぁ…
日本がなんたるか…ですか?
それがなんで大事なんです?」
「そりゃお前、日本人のお前が日本がなんたるかを知らずにどうやってこの国の舵を取っていくんだ?」
「国の舵をとる?
僕はそんな大それたことは考えていませんよ。
国を運営するのは…
政治家とか、そういう人なんじゃないですか?」
「その政治家を選ぶのは誰だ?」
「まぁ…国民ですかね」
「だろう?
もやしだってこの国の舵取りに関わっているんだぞ」
「うーん…
まあ実感はないですけど…
一応はそうかもしれませんね」
「日本を今後どうしていきたいか?
それを考えるにはまず日本という国、そして日本人という民族を知ることが必要だろう。
例えばもやしが外国人に「日本ってどんな国なんだ?」と聞かれたらなんと答える?」
「あっ、その質問…
僕、大学の時に2週間だけ留学したことあるんですけど、聞かれましたよ」
「ほう…
で、なんと答えたのだ?」
「それが…
なにも、答えられませんでした」