巫女さんは陽の目を見ながら言った。
「すごく簡単に説明すると…
この世の全てを司っているのが龍神様なのです」
「龍神がこの世の全てを司る?」
聖が言った。
「はい。龍神祝詞は比較的新しい祝詞ではありますが、私はイザナギとイザナミがグルグルとかき混ぜたその流れこそが…
龍神だと感じています」
「流れが龍神?」
「はい。龍とは流…つまり流れのことです。
イザナギとイザナミが作り出した流れ…つまり龍神がこの世界を動かしているのです。
その流れは止まることなく、今でもこの世界を回しています」
ノブナガが言った。
「なるほど、銀河系そのものも龍神であると?」
「はい。私はそのように捉えています」
それを聞いた陽は目を閉じた。陽の脳裏には世界中を宇宙全体を泳ぎ回る龍神のイメージが見えた。
巫女さんは続けた。
「今、こうして私たちが出会っているのも龍神様が繋いでくれたご縁なのでしょう。
この世界のあらゆるところに龍神様がいるのです」
「あ、あれ見て!!」
カナコが空を指差した。そこには見事な龍雲が立ち上っていた。
「すごい、本当に龍神様が現れたわ。
お姉さんの祝詞のお陰かしら?
きっとそうよね?」
聖が目をキラキラさせて言った。
「ふふふ。
このくらいのことは、普通に起きることですよ」
巫女さんは涼しい顔をして言った。
「すごーい。
私、俄然祝詞に興味が出てきたわ!!」
聖は興奮気味に言った。
「よし、下僕ども。
そろそろオレとお姉さんの運命の出会いを後押ししてくれた龍神をお参りしようではないかっ!!
カッーカッカッカッカッカ!!」
ノブナガが高らかに笑った。