タケミナカタ物語④
~これまでのお話~
諏訪に移り住んだタケミナカタは、些細なことから妻・ヤサカトメノカミと大喧嘩をしてしまいました。ヤサカトメノカミは家出をし、別居するため湖を渡りました。
ヤサカトメノカミが湖を渡り終えた頃・・・
タケミナカタは一人考えていました。
「まずい、このままではまずい・・・
よし!!」
タケミナカタはヤサカトメノカミに謝ることにしました。
屋敷内をくまなく探しましたが、ヤサカトメノカミは見つかりません。
「おかしいな?外で仕事でもしているのかな?」
屋敷の外に出ましたが、やっぱりヤサカトメノカミの姿は見えません。
タケミナカタはキョロキョロしながら近所を散策することにしました。
けれど、やっぱりヤサカトメノカミの姿はありません。
やがてタケミナカタは湖のほとりにやってきました。
向こうから一艘の小舟がやってきます。
村人は小舟を操りながら、挙動不審なタケミナカタに声をかけました。
「これはタケミナカタ様。どうかなさいましたが?」
タケミナカタは咄嗟に答えました。
「い、いや、なんでもないぞ。
皆の暮らしぶりを見て回っているのだ」
村人は笑顔で答えました。
「タケミナカタ様。おかげでこの土地はとても住みやすくなりました。
ほらあそこをご覧ください。
さっきヤサカトメノカミ様が湯をこぼしたところから温泉が湧きだしたとか。
村人があんなに集まって。皆喜んでおります」
村人に言われた方に目をやると、確かに人だかりが出来ていました。
「なんと、ヤサカトメノカミがそんなことを・・・」
驚くタケミナカタに村人は続けました。
「はい、さきほど私がヤサカトメノカミ様を湖の向こう岸までお送りしたところです」
タケミナカタは驚きましたΣ(・□・;)
「み、湖の向こうだって!!!?」
今度は村びとが驚きました。
「へ、へぇ・・・タケミナカタ様、ご存知なかったので????」
タケミナカタは平静を装い言いました。
「い、いや、もちろん知っていたとも。
ちょっと使いを頼んだのだ、はっはっは」
村人は
「そうでしたか。いつも仲が良いようでうらやましい限りです。
では、失礼します」
というとその場を去っていきました。
タケミナカタは全身から汗が噴き出してきました。
「まずいことになった・・・
湖の向こうに行ったと・・・
それは・・・
つまり・・・
別居を決意したということだっちゅうのっ!!」
つづく
よう