ワカヒコの野望
~これまでのお話~
美しく賑やかに発展した中つ国の統治を、高天原にいるアマテラスは息子のオシホミミに任せたいと考えました。そこで、中つ国へ使者としてアメノホヒを送りましたが、オオクニヌシに懐柔され中つ国に居ついてしまいました。次の使者としてアメノワカヒコが送られましたが、オオクニヌシは宴会を開き、ワカヒコはオオクニヌシにペースを握られてしまいました。そこへオオクニヌシの娘シタテルヒメが現れました。ワカヒコはシタテルヒメの美しさに心を奪われました。
オオクニヌシに「シタテルヒメに申し分のない男」と評されたワカヒコ。
しかし、ワカヒコには高天原に置いてきた大切な家族がいます。
オオクニヌシの「高天原に家族はいるのですか?」という問いに、ワカヒコは今まさに答えようとしていました。
「私には、高天原に・・・」
「家族、家族・・・」
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「家族なんていません。一人ものです!!」
(言ったぞ、言ってやったぞ…クハ~、クハ~)
それを聞いたオオクニヌシの表情がパッと明るくなりました。
「な、なんと!!そうでしたか~。いや~、ワカヒコ殿のような立派な男神が独り身とは。高天原の女神はいったい何をやっているんですかね~。」
「いやいや、私なんて全然モテないんですよ~」
ワカヒコは続けて言いました。
「ささ、お義父さん!!グラスが空いていますよ。私が注ぎましょう!!」
こうして高天原の代表として出雲にやってきたワカヒコでしたが、オオクニヌシを説得するどころか、シタテルヒメと結婚し、オオクニヌシファミリーの一員に加わってしまったのです。
そしてワカヒコはあることに気づきます。
「ん?まてよ???」
「オオクニヌシの娘を娶ったのだから…うまくいけば、いずれオレはオオクニヌシの後継者になれる!!」
こうしてワカヒコは「中つ国の王になる」という野望を抱くようになったのでした。
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