~これまでのお話~
アメノヒボコはオオクニヌシと別れたのち、出石(いずし)に渡りましたが、そこは海水が溜まりドロドロの土地でした。アメノヒボコは村びとと協力し、土木事業をすすめました。しかし、あと一歩というところで、この地の主である大蛇が現れ、事業を妨害しました。大蛇の前に絶体絶命のピンチを迎えるアメノヒボコでしたが、新妻マエツミの機転もあり、見事に大蛇を退治しました。
大蛇を退治した陸に上がったアメノヒボコの元には村びとが駆け寄ってきました。
「ヒボコさま~っ!!」
「よかった、よかった!!」
「あなたは出石のヒーローだ!!」
アメノヒボコは村人たちと大喜びしました。
そして、人だかりの外で控えめに立っているマエツミの元により言いました。
「マエツミよ、ありがとう。そなたが波と風を穏やかにしてくれなかったら私は死んでいただろう。心より感謝している。」
村人たちは口々に言いました。
「そうだ、そうだ。」
「あの状況で動けるなんて大したもんだ。」
「オレなんかビビッて腰を抜かしていたぞ。」
「マエツミが出石を救ったんだ!!」
「マエツミ様様だ~っ!!」
そして、アメノヒボコは思いました。
(オオクニヌシ様。オレが「新羅の宝を差し上げる」と言ったとき、もしあなたが受け取っていたら…私は死んでいたし、出石の未来もなかっただろう。やはりあなたは大したお方だ)
「おい、見ろ!!すっかり海水が引いたぞ!!」
「おお、これは良い田畑が作れそうだ!!」
村びとの声でアメノヒボコは我に返りました。
ドロ海のようだった土地から海水が引き、目の前には豊かな大地が広がっています。
ヒボコは大声で叫びました。
ヒボコ「さぁみんな!!次はこの土地に田畑を作るぞ!!力を合わせ、出石を中つ国(なかつくに:地上世界)で一番の土地にしようぞ!!」
村びと「おお~っ!!」
ヒボコ「よし!!まずは宴会じゃ~~~!!」
村びと「ええ~っ!!?」
困難を乗り越えたアメノヒボコと村人たちはさらに絆を深め、心を一つにして出石の国造りを進めるのでした。
よう